今村聖奈「最多勝記録」に発奮!? 藤田菜七子「必然の勝利」で反撃態勢!

今村聖奈騎手 撮影:Ruriko.I

「私自身、菜七子さんの背中を見て、騎手になりたいなと強く思った」

 阪神競馬場で菊花賞(G1)が開催された23日、新潟競馬場の2R・2歳未勝利をフェステスバントで制した今村聖奈騎手は勝利騎手インタビューでそのように語り、笑顔を浮かべた。

 今年3月に騎手デビューを果たした今村騎手は、これが今年の44勝目。藤田菜七子騎手が19年にマークしたJRA女性騎手の年間最多勝利記録(43勝)を更新する歴史的1勝だった。

 今開催の新潟では、他の若手女性騎手も活躍中だ。16日(日)には、今村騎手と共に2年目の永島まなみ、古川奈穂両騎手が勝利。同日に女性騎手3人が勝利したのはJRA史上初の快挙でもあった。

藤田菜七子騎手

 一方で、前日の15日(土)に2着はあったものの、女性騎手の中で唯一、蚊帳の外にいたのが7年目の藤田菜七子騎手である。

 8月14日を最後に2か月以上も勝利から遠ざかっていた藤田騎手。菊花賞ウイークは土日の2日間で計6鞍の騎乗があった。日曜のメイン11R・新潟牝馬S(OP)は2番人気ニシノラブウインクに騎乗するも12着。今週もこのまま未勝利かと思われたが、迎えた最終12Rが新潟の名物、直線芝1000mだったことは藤田騎手には追い風だった。

 絶好の大外15番枠を引き当てた藤田騎手とディアナグラン(牝4歳、美浦・大竹正博厩舎)は2番人気とファンから高い支持を受けて臨んだ。最後にゲートに誘導されたディアナグランはポンと好スタートを切ると、理想通りの外ラチ沿いを確保。楽にハナを切り、テンの3ハロンを33秒0に落ち着かせると、最後は他馬に並ばれることなく、まんまと逃げ切り、藤田騎手は2か月ぶりの今年6勝目を挙げた。

 レース後、「枠が良かったですし、馬もしっかりとゲートを出て反応して走ってくれました」と愛馬に感謝のコメントを残した藤田騎手。今年は2年目から続けてきた年間2桁勝利にも黄信号が灯っていただけに、大きな1勝となったはずだ。

「必然の勝利」で反撃態勢!

 また、久々の勝利を千直コースで挙げたのも必然だったかもしれない。藤田騎手はデビュー当初から新潟を得意としているが、中でも芝の直線1000mは大の得意コース。実は、デビュー年の2016年以降、千直コースで10勝以上挙げているのは、他に津村明秀騎手(10勝)しかいない。同期間に限れば、11勝は単独トップの数字である。

 3年前に自身が記録した女性ジョッキーの年間最多勝利記録が、後輩によって更新されたその日。自ら最後の最後に意地を見せた。

 今年の新潟開催も29~30日の2日間を残すのみ。後輩たちの活躍を発奮材料に、藤田騎手のさらなる反撃に期待したい。

中川大河

競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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