社台から“左遷”ジャスタウェイに朗報!「ジオグリフ級」新馬に鞍上も仰天!?

 先週日曜の東京5R・2歳新馬(芝1800m)は、サトノダイヤモンド産駒のカズボニファシオが単勝2.2倍の1番人気に支持されたが3着まで。この馬を破り、見事デビュー勝ちを収めたのはジャスタウェイ産駒のガストリック(牡2歳、美浦・上原博之厩舎)だった。

 2021年の1歳セレクトセールにて1億6500万円(税込)の高額で取り引きされた大本命馬に対し、ガストリックは同年の北海道セレクションセールにて1760万円で取り引きされた“格安馬”だった。

 ガストリックは4番人気とまずまずの支持を受けていたが、スタートでやや立ち遅れると二の脚もつかず。レース序盤はやや離された最後方を追走する姿に馬券を買っていたファンもこの時点で半分諦めムードだったのではないだろうか。

 向正面でなんとか馬群に取り付いたガストリックだったが、1000m通過63秒2の緩い流れの中、4角でも最後方という致命的な位置取りだった。

 ところが直線を向いてからガストリックの“逆転劇”は始まる。鞍上の永野猛蔵騎手が大外に持ち出し、手綱をしごいてゴーサインを送ると、一気にエンジン点火。残り400mのハロン棒を過ぎ、左ムチが1発2発と入ると、あっという間に先頭集団との差を縮め、最後は異次元の末脚を繰り出し、12頭を抜き去った。

 ガストリックが叩き出した上がり3ハロンは、なんとメンバー最速の33秒3。次点がカズボニファシオの34秒1なので、数字からもガストリックの突出度が分かるだろう。

 レース後、永野騎手は「気性が幼い中でこういう脚を使ってくれたのでビックリしました。これだけの脚を使うと今後も楽しみになります」とパートナーを絶賛。そして33秒3の切れ味はガストリックの明るい未来を照らしたといっても過言ではない。

 東京芝1800mの2歳新馬戦で上がり33秒3以下の末脚を繰り出し、勝ち上がった馬は2017年以降の5年で他に4頭いた。17年ブラストワンピース、18年ラストドラフト、19年ワーケア、そして21年ジオグリフ。4頭中2頭はG1ウイナー、ラストドラフトは2戦目に京成杯(G3)を勝ち、ワーケアもホープフルS(G1)で3着するなど、4頭すべてが翌年のクラシックで注目される存在に上り詰めている。

社台から“左遷”ジャスタウェイに朗報!

 大きなインパクトを残したガストリックのデビュー戦Vは父ジャスタウェイにとっても朗報だ。これまで産駒5頭がJRAで重賞勝利を収めるなど、活躍馬も少なくない。ところが、20年の種付けシーズン後に6年間繋養された社台SSからブリーダーズSSに移動している。

 種付け頭数も社台SS最終年度の86頭からブリーダーズSS初年度は61頭と減少。種牡馬としての将来に暗雲が漂っているのが現状だ。

 ジャスタウェイ産駒といえば、ヴェロックス、ダノンザキッドなどどちらかというと一瞬の切れ味を欠くタイプが多かった。そんな中で登場したガストリックは、まさに父の現役時代を彷彿とさせる末脚を披露した。

 まずは2戦目に注目が集まるが、数か月後に父の代表産駒と呼ばれていても不思議はない。社台から“左遷”の憂き目に遭ったジャスタウェイの“逆転劇”はガストリックの今後の走りに懸かっている。

中川大河

競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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