無敗の怪物が「71馬身差」で有終の美…最強馬の父はグランアレグリアにも繋がり
凱旋門賞(仏G1)前に世界的な注目を集めた最強馬候補は2頭いた。
1頭は英インターナショナルS(G1)を6馬身半差で圧勝していたバーイード。欧州最強馬として名前の挙がった存在でもあり、凱旋門賞に参戦を噂されたものの実現せず。引退レースの英チャンピオンS(G1)で断然人気に支持されたが、まさかの4着に敗戦。無敗の11連勝とはならなかった。
そしてもう1頭は、アメリカで圧倒的な存在感を見せていたダートの怪物フライトライン(牡4、米国・J.サドラー厩舎)である。当時の同馬は9月のパシフィッククラシックS(米G1)で2着馬に19 馬身1/4の大差をつけ、デビューからの連勝を5に伸ばしたタイミングだった。
芝とダートで主戦場は違えども、どちらも無敵の快進撃を続けていただけに、世界的な注目を集めたのは当然だが、ラストランで初黒星のついたバーイードに対し、フライトラインは、最後まで怪物の名に相応しいパフォーマンスで幕を閉じた。
無敗の怪物が「71馬身差」で有終の美…
現役生活の掉尾を飾ったのは、アメリカのキーンランド競馬場で5日に行われたブリーダーズCクラシック(米G1)だ。
道中で2番手から直線入り口で先頭に立つと、ここからさきは“平常運転”。後は後続を突き放す一方の独走を決め、2着馬に8 馬身1/4の大差をつけてゴールした。これで6戦6勝となったフライトラインは、現役生活6戦で2着に計71馬身差をつけた計算。文句なしに近年における世界最強馬といっても過言ではない強さを見せた。
現地の実況でも伝説的名馬であるセクレタリアトの名前が出たほどの圧勝劇に、衝撃を受けたファンも少なくなかったはずだ。引退後はアメリカのレーンズエンドファームで種牡馬入りすることが決定しており、今後は父として後世に血を繋いでいくことになる。
また、フライトラインはタピット産駒であるが、タピットは日本でもフェブラリーS(G1)を優勝したテスタマッタが産駒におり、G1・6勝を挙げたグランアレグリアの母父としても知られている。
フライトラインの活躍により、日本でもタピットの血を持つ馬の注目度が上がるかもしれない。