「優等生」横山典弘に戸惑うファン続出…ブエナビスタ登場に引退は先延ばし?
4日、中京競馬場で行われたチャンピオンズC(G1)は、3番人気に推されたジュンライトボルトが優勝。今年の夏まで芝を走っていた馬が、ダートに転じた7月から瞬く間に頂点まで駆け上がった。
鞍上の石川裕紀人騎手もこれが嬉しい初G1制覇。人馬ともにフレッシュなコンビが新ダート王に名乗りを上げる殊勲の勝利だったといえる。
思えば2週前のジャパンC(G1)を制したヴェラアズールも、ダートから芝に転向してG1馬となった。2週連続で新星が誕生したことで、今後の勢力図にも大きく影響が出てきそうだ。
その一方で、別の意味で大きな注目を集めたのは横山典弘騎手のコメントだった。2着のクラウンプライドとともにハイレベル3歳世代の実力を証明する3着に敗れたハピ(牡3、栗東・大久保龍志厩舎)に騎乗していたのだが、パートナーに対する自身の熱い想いを打ち明けたのだ。
「残念。でもよく走ってくれました。周りの馬は重戦車のような馬ばかりで、この馬は華奢に映ります。実際、騎乗しても、こんな走りができる雰囲気はありません。だけど、肝が据わっていて、ブエナビスタみたいです。1年先、2年先には凄いことになっているかもしれません。楽しみです」
こちらはレースを振り返った横山典騎手のコメントだが、普段なら多くを語らずに「馬は頑張ってるよ」などの短い言葉で済ませる騎手にしては異例ともいえる長文。内容もハピに対する期待に満ち溢れたものであり、かつて自身が手綱を取ったことのある名牝ブエナビスタの名前まで出す大サービスだった。ファンから驚きと戸惑いの声が続出したのも無理はない。
この発言の反響は大きく、ネットの掲示板やSNSでも話題となり、ダートG1の開催日にしては珍しく「ブエナビスタ」がトレンドに上がったほど。寡黙な男が、まるで優等生にでもなったかのようなコメントを残したことには、何かしら心境の変化でもあったのだろうか。
ブエナビスタ登場に引退は先延ばし?
その理由の一つとして考えられるのは、この日の横山典騎手が非常に上機嫌だったことも無関係ではないかもしれない。
チャンピオンズCが開催された日曜の横山典騎手はレッドファーロに騎乗した中京2Rを勝利。これは史上3人目となるJRA2900勝目、現役騎手では武豊騎手に続く2人目の大記録を達成していた。
「G1当日のこんな華やかな舞台で、多くのファンの前で達成させてもらえて大変光栄です」
メモリアル勝利に関係者やファンに感謝の気持ちを伝えた名手は、「まだまだジョッキーを長く続けたいという気持ちが湧いてきました」とジョッキー横山典弘の続投にも意欲を見せている。
一時は調教師試験の勉強を始めたとも噂されたが、肉体や技術の衰えではなく、乗りたくても騎乗馬が集まらないと嘆いていた横山典騎手。メモリアル勝利で騎手としてのモチベーションがアップし、G1を狙える素質馬ハピとの出会いが、思わぬリップサービスへと繋がったのだろうか。
もはや代名詞になった「後方ポツン」や、見方によっては無気力騎乗に誤解されて物議を醸すこともあるが、その手腕は文句なしに現役トップクラス。騎手続投にこだわりを見せてくれたことを喜ぶファンも多かったはず。
願わくば、これが偶然の饒舌ではなく、他のレースに騎乗した際にも、もう少し長めのコメントでしてもらえるとありがたい。