【中山牝馬S(G3)予想】「57kgは克服不可」と見て川田将雅とアートハウスは切り! 特大の穴馬を押さえて大波乱に期待
今回は春の牝馬No.1決定戦ヴィクトリアマイル(G1)の前哨戦となる牝馬限定のハンデ戦、中山牝馬S(G3)を予想していく。
先週の振り返り。まず、チューリップ賞(G2)だが○コナコースト2着、△ペリファーニア3着はいいとして、勝ったのはノーマークのモズメイメイ。淡々と逃げて前残り展開を作り出したのは大したもの。追い込んできたコナコーストの強さが光ったが、鞍上の武豊騎手の“マジック”にしてやられた格好だ。
弥生賞ディープインパクト記念(G2)は、結局押さえたトップナイフは来たものの、1着タスティエーラと3着ワンダイレクトは名指しして切った馬。上位人気だけで順当に決まってしまうと出番がない。「来れば面白い」と指名したアームブランシュがクビだけ届かずの4着が惜しかった。
予想に戻ろう。
まずはいつものように過去10年、馬券に絡んだ30頭の前走データを見ていくことにしよう。
愛知杯 9頭
ターコイズS 5頭
日経新春杯、中山金杯、京都牝馬S 各2頭
有馬記念、エリザベス女王杯、府中牝馬S、東京新聞杯、小倉大賞典 各1頭
オープン特別 2頭
条件特別(3勝クラス) 2頭
条件特別(2勝クラス) 1頭
となっている。牝馬限定戦の2重賞で約半数を占めている。基本的には前走重賞組が優位だが、近5年でも条件戦からの挑戦で好走している例があるので、一概に軽視するのは危険かもしれない。
続いて人気順の成績を見ていく。
1番人気 1-2-3-4
2番人気 0-2-0-8
3番人気 2-1-0-7
4~6番人気 5-3-2-20
7~9番人気 1-0-2-27
10番人気以下 1-3-2-58
となっている。1番人気はそこそこ信用できる数字だが、2番人気と3番人気はアテにしづらい。ハンデ戦だけあって近5年に絞っても1番人気と3番人気が2頭ずつ、2番人気が1頭と上位人気に期待できない。軸は中穴クラスか。注意すべきは10番人気以下で、昨年の1着2着を占めたほか、近5年で合計4頭が食い込んできている。超人気薄にも気を配っておきたい。
これを踏まえて「◎」は、いきなり穴馬だが7番エイシンチラーとする。
前走はニューイヤーS(L)。内枠から好スタートを切って3番手を確保。そのあとややポジションを落として直線に向かうが、逃げ馬のペースで前に残られた上にもうひとつ伸び切れず4着に終わった。
昨年1月に3勝クラスを脱出してオープン入りしたが、その後6戦して2着が1回あるだけでオープンの壁にぶち当たっている印象。ただ、近2走は中山のリステッドを走ってともに4着と掲示板を確保しており、オープン慣れしてきた感がある。
距離に関してはマイルから1800mあたりがベストのようで、加えて今回はハンデ戦ということで前走から2kg減の53kgで出られるのも好材料。脚質的にも前目につけて抜け出すスタイルが勝ちパターンのようで、比較的前残りしやすいこのレースに向いていると見ている。
トップハンデから4kgの斤量差があり、上手く活かすことができれば一発もあるのではないか。
「○」も穴っぽく5番サトノセシルを挙げる。
前走は愛知杯(G3)。外枠2騎がゆるく逃げる中、5番手を追走。直線に向いて前にいた馬が粘っているところを追撃するも、道悪が影響してか届かず5着に終わった。
7歳で年齢的な衰えもありそうだが、昨年は3勝クラスで惜しいレースを繰り返したのち、クイーンS(G3)に出走して2着に好走。続く府中牝馬S(G2)は相手が大幅強化されたが、それでも0.2秒差の4着に大健闘している。さらに福島記念(G3)では軽ハンデを利して再び2着に好走。前走にしても掲示板に終わってしまったが、これは重馬場が影響したことが考えられ結果としては悪くない。
勝ち星こそ一昨年の7月から遠ざかっているが、それ以降で掲示板を外したのは札幌記念(G2)のみ。中山コースとも相性は悪くない。思い切って対抗に抜擢した。
「▲」は人気サイドになるが8番スルーセブンシーズを推す。
前走は初富士S(3勝クラス)。逃げ馬がスローペースを作り出す中で中団につけて追走。4コーナーでポジションを上げて、外へ持ち出されるとそのまま前の馬を交わして勝利した。
1月の前走で3勝クラスを脱出し、オープン入りしたばかりの馬。だが、オークス(G1)や秋華賞(G1)への出走経験もある。3走前のマーメイドS(G3)では2番人気になりながらも10着と大敗しているが、自己条件に戻って2着→1着と順当に走っているので調子を落としていることはなさそうだ。
人気の裏付けになっているのが、無類の中山巧者という点だろう。これまで6戦して3勝2着1回3着2回とすべて馬券に絡んでいる。紫苑S(G3)の2着も含まれており、中山との相性は抜群だ。
この重賞2着がありながら、ハンデは前走から2kgと恵まれた。54kgは好走歴が多く、ここでも期待できるだろう。唯一の懸念は中山1800mを1度しか経験していない点だが、それでも1番人気に推されてしっかり勝っているので問題はないだろう。
「△」は人気サイドの9番クリノプレミアムと、穴馬6番シャーレイポピーの2頭を挙げる。
クリノプレミアムの前走は中山金杯(G3)で、内枠スタートから前を見ながらの追走。後ろにいたラーグルフが先にポジションを上げ始め、直線では外から一気に伸びたもののハナだけ届かず2着に終わった。
昨年のこのレースの覇者。その後福島牝馬S(G3)でも2着に入るなど好走したが、ヴィクトリアマイルでは16着に大敗。休み明け京成杯AH(G3)で3着と復調したかに見えたが、続く2戦をいずれも大敗。そこからの前走で再度息を吹き返した感じである。
前走は一線級とは言えないまでも、G2勝ち馬なども揃ってメンバーは強かったと言える。そこで55kgを背負ってハナ差2着なら上々だろう。ハンデはさらに0.5kgもらってしまったが、逆に言えば0.5kgで済んだのは好材料。昨年のこのレースからは2.5kg増となるが、牝馬相手ならチャンス十分だ。ただ、安定して好成績を残すタイプではないので、あっさり凡走も考えられるということで印を落として押さえてみたい。
シャーレイポピーの前走は京都金杯(G3)で、スタートからポジションを落としていき、直線でも馬群から伸びることなく大敗している。
昨年2月にオープン入りしているが、重賞とリステッドでまったく結果を残せず、掲示板の確保すらできていない状況だ。中山でも京成杯AHとターコイズS(G3)と2つのマイル重賞を走っているが、軽ハンデだったにもかかわらず見せ場なしという体たらく……。
こう書くと「ではなぜ押さえる」という話になるのだが、上記の京成杯AHとターコイズSは3走前、2走前のレースで、前走も含めてすべてマイル戦。3歳時に紫苑Sで4着があるように、距離延長がプラスに働く可能性があるのではないか、と踏んでいる。
6戦連続で掲示板すらない凡走続きにもかかわらず、なぜかハンデは前走から据え置きの53kg。さらに軽ハンデの馬がいるにしても、見込まれ過ぎの感は否めない。ただ逆に言えばハンデキャッパーはその程度の力はあると見込んで設定したわけで、一発に懸けてみたい。
人気どころでは、断然人気が予想される4番アートハウスを切り。
鞍上の川田将雅騎手がオークスで桜花賞馬スターズオンアースを蹴ってまで選んだ馬で、オークスと秋華賞では結果が残せなかったが、前走・愛知杯とローズS(G2)の重賞2勝をマーク。実績で言えば断然の存在ではある。
ただ、今回はハンデ戦。ハンデキャッパーもこの馬の実力を相当見込んだのか、前走から2kg増の57kgと1頭だけ突出して重いハンデを課した。あっさり来る可能性はあるが、今回はこの斤量に泣かされると見て、切りとしたい。
ということで、今回は5番、6番、7番、8番、9番の5頭で3連複BOX10点勝負とする。たまたまだが続きの馬番で押さえることになった。多少イヤな予感がしないでもないが、人気サイドを押さえる一方で、特大の穴馬を指名したので激走があれば大荒れ必至。大いに期待してみたい。