
桜花賞前に現れた「グランアレグリア級」快時計、川田将雅に問われる道中の判断…リバティアイランド敗戦のシナリオとは

待ちに待ったクラシック初戦の桜花賞(G1)。枠順も発表され、情報収集の段階から予想に切り替えつつあるファンも多いだろう。断然人気が予想されるリバティアイランドは2枠3番、対抗格と目されるライトクオンタムも1枠2番と内枠に入った。
その一方で過去10年の桜花賞で1枠の馬は未勝利、2枠にしても1勝しかしていないことは気になる。金曜の雨も土日の開催に少なからず影響を与えると考えられるだけに、当日の馬場状態やトラックバイアスにも注意したいところである。
だが、予想に入る前に思い出しておきたいのは、絶好の馬場で開催されている阪神の馬場状態だ。逃げ先行が圧倒的に有利なこの状況は、大阪杯(G1)を優勝したジャックドールの逃げ切り勝ちにも味方した。ただでさえ、高速化の進んでいた先週のAコースからBコースに替わることは、桜花賞にも少なからず影響するだろう。
こういった要素を警戒する上で、ひと際目を引いたのは、大阪杯当日に行われた阪神5R(3歳1勝クラス・芝1600m)だ。このレースを制したマラキナイアの勝ちタイムは、なんと1分32秒7(良馬場)。これだけでは凄さが分かりにくいが、2019年の桜花賞を制したグランアレグリアと同じタイムだったといえば、よりイメージしやすい。
この年も速い時計での決着が目立った阪神だが、実はこれ過去10年の桜花賞で2番目に速い勝ちタイムなのだ。ちなみに断然トップは2021年のソダシで1分31秒1というとんでもないレコード決着だった。つまり、コース替わり前の阪神芝1600mを1勝クラスの馬がグランアレグリア級の時計で走破していたのだから、異常な高速馬場だったと評しても差し支えはないはずだ。
■過去10年の桜花賞の勝ちタイムと優勝馬
13年 1分35秒0良 アユサン
14年 1分33秒3良 ハープスター
15年 1分36秒0良 レッツゴードンキ
16年 1分33秒4良 ジュエラー
17年 1分34秒5稍 レーヌミノル
18年 1分33秒1良 アーモンドアイ
19年 1分32秒7良 グランアレグリア
20年 1分36秒1重 デアリングタクト
21年 1分31秒1良(レコード) ソダシ
22年 1分32秒9良 スターズオンアース
■4月2日、阪神5R(3歳1勝クラス)
1分32秒7良 マラキナイア
これに対し、リバティアイランドが持ち時計においても他馬をリードしている事実もある。2歳女王の座を射止めた昨年の阪神ジュベナイルF(G1)の勝ちタイム1分33秒1良は、桜花賞に出走予定の18頭で持ち時計を比較した場合、クイーンC(G3)の1着ハーパー、タイム差なしで2着のドゥアイズと並ぶ。
懸念があるとすれば、主戦を任されている川田将雅騎手の手綱捌きか。昨年7月新潟のデビュー戦をJRAレコードタイとなる上がり3ハロン31秒4の豪脚で勝利し、阪神JFも中団から追い出しを待つほどの圧勝をしているだけに、鞍上はパートナーの末脚に絶大な自信を持っているはずだ。
とはいえ、今回は2枠3番の枠を考えると、ある程度の位置を取りに行かなければ、直線でスムーズな進路を取れなくなるリスクも生じる。それを象徴したのが、ラヴェルに不覚を取った昨年10月東京のアルテミスS(G3)での敗戦だろう。川田騎手としては、むしろ包まれる可能性の低い外寄りの枠の方が、桜花賞の騎乗プランを組み立てやすかったかもしれない。
Bコースに替わることで、馬場の高速化が濃厚な今年の桜花賞。1分32秒7で走破したマラキナイアの時計を考慮すると1分32秒台前半か、もしくはそれ以上に速い決着も考えられる。
大阪杯で後手を踏んだスターズオンアースは、メンバー最速の上がりで強い競馬をしながら、マイペースで逃げたジャックドールを捕まえられずに敗れたばかり。昨年に続く連覇も懸かるリーディングジョッキーの手綱捌きに注目だ。
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