【鳴尾記念(G3)展望】世界最強イクイノックスが待つ宝塚記念(G1)へ! 大器ソーヴァリアントは負けられない一戦
リニューアルオープンを飾った京都開催が終わり、6月3日からは夏の阪神開催がスタートする。
そのオープニングを飾るのは、宝塚記念(G1)の前哨戦に位置付けられている鳴尾記念(G3)だ。昨年のJRA年度代表馬であり、世界No.1に上り詰めたイクイノックスが待つ春のグランプリに向けて行われる重要な一戦を早速展望していこう。
中心は昨年12月のチャレンジC(G3)で同レース連覇を果たしたソーヴァリアント(牡5歳、美浦・大竹正博厩舎)だ。時期こそ違うが、同じ阪神芝2000mが舞台なら優位は揺るぎそうにない。
ただし、5歳を迎えた今年は青写真通りに事が運んでいない。
陣営は2月の中山記念(G2)を使って、大阪杯(G1)に向かうプランを描いていたのだが、1番人気に支持された始動戦は最後の直線で全く伸びず、9着に敗れている。
レース後、「追い出してからは、反応が全く無かった」と首をひねったのは鞍上を務めた横山武史騎手。ただ、同騎手はスタート直前に「ゲートで周りがガタガタしてテンションが上がりました」ともコメントしており、以前から指摘されているソーヴァリアントの“繊細さ”が悪い方に出た可能性が高い。
今回は鞍上をコンビ2戦2勝のC.ルメール騎手に戻して、ベストの2000mで確勝を期す。
フェーングロッテン(牡4歳、栗東・宮本博厩舎)もデビューから2000mを中心に使われてきた。
ちょうど1年前、日本ダービー(G1)の裏で行われた白百合S(L)で2勝目をゲットすると、続くラジオNIKKEI賞(G3)も勝って重賞ウイナーの仲間入りを果たした。
その後は新潟記念(G3)で古馬と初対戦。53kgのハンデを生かして3着に健闘すると、次走は一気に距離を延ばして菊花賞(G1)に挑戦した。しかし、結果は15着に大敗している。
今年は改めて距離を2000mに戻して、中山金杯(G3)で再スタートを切った。白百合S以来の逃げの手を打ち、タイム差なしの3着に好走。さらに金鯱賞(G2)でもハナを切ると、0秒1差の2着と結果を残した。
今回もメンバー構成と枠の並び次第で、先手を奪う可能性もあるだろう。ただ近2走は逃げているものの、2~3番手からでも結果を残している。
これまで4角を4番手以下で通過した時は「0-0-1-3」と苦しんでいるが、4角3番手以内の時は「3-2-3-0」の好成績。今回も自慢の先行力を生かす走りができれば、大きく崩れることはないだろう。
28日の目黒記念(G2)に登録があったが、59.5kgの酷量を嫌って同レースを回避。1週スライドして、1年半ぶりの2000m戦に矛先を向けてきた。
21年12月の中日新聞杯(G3)の後は2200m以上の距離を使われてきたボッケリーニ。昨秋のジャパンC(G1)と有馬記念(G1)は力負けを喫し2桁着順に敗れたが、G2では大崩れしておらず、G3なら主役級の存在だ。
1週スライドしたことが吉と出るか凶と出るか。鞍上は引き続き浜中俊騎手を予定している。
他の有力馬として、カラテ、アドマイヤハダル、ヒンドゥタイムズの3頭を挙げておきたい。いずれも鞍上は“黄金世代”と呼ばれる5年目の若手騎手が務める。
カラテ(牡7歳、栗東・辻野泰之厩舎)とのコンビで臨むのは菅原明良騎手。同期の中ではトップの重賞7勝をすでに挙げているように腕は確かだ。前走の新潟大賞典(G3)では59kgを背負ったカラテを勝利に導いており、宝塚記念に向けてここも無様な競馬はできない。
同期の中ではトップの勝利数を誇るのが岩田望来騎手。今回はアドマイヤハダル(牡5歳、栗東・大久保龍志厩舎)と初コンビを結成。2年前の皐月賞(G1)で4着、昨年の中山記念(G2)で3着の実績馬に重賞初勝利をもたらしたいところだ。
3月の高松宮記念(G1)をファストフォースで制し、同期でG1一番乗りを決めたのが団野大成騎手。2月の小倉大賞典(G3)を勝ったヒンドゥタイムズ(セ7歳、栗東・斉藤崇史厩舎)と、これが2度目のコンビとなる。大阪杯16着からの巻き返しはなるか。
この他には、昨年の小倉記念(G3)の覇者で、前走・大阪杯で牡馬に交じって5着に好走したマリアエレーナ(牝5歳、栗東・吉田直弘厩舎)、ボッケリーニと同じく酷量を嫌って目黒記念を回避したモズベッロ(牡7歳、栗東・森田直行厩舎)の2頭もG3なら実績は上位クラスだ。
なお、前走・ダービー卿チャレンジT(G3)を勝利したインダストリア(牡4歳、美浦・宮田敬介厩舎)は、安田記念(G1)に登録しているが、除外対象の1番手。回避馬が出なければ鳴尾記念に回ってくる可能性がある。
ここを勝って宝塚記念でイクイノックスに挑戦状を叩きつけるのは、果たしてどの馬か。発走は6月3日、15時35分を予定している。