【G1回顧・NHKマイルC】やはりメジャーエンブレムは強かった!! 「彼女らしい走りを」C・ルメール騎手が会心のレースで「桜」のリベンジを果たす!
「本物」の女王メジャーエンブレムが帰ってきた。
8日に行われた第21回NHKマイルC(G1)。並み居る強豪牡馬を押し退けて3歳マイル王に輝いたのは、1番人気の2歳女王メジャーエンブレムだった。
単勝1.5倍に推されながらも、本来の積極的な競馬ができないまま4着に敗れてしまった前走の桜花賞(G1)。その借りを返すために、鞍上のC・ルメール騎手を始めメジャーエンブレムの陣営には相当な覚悟があったはずだ。
勝つにしろ負けるにしろ「今度こそ、後悔なき走りを――」そんな誓いを胸に秘め、迎えたNHKマイルCは、まさにリベンジの一戦。女王としての貫録を取り戻すためにも、負けられない戦いだった。
その上で、戦前から「最も重要」といわれていたのが、スタートだ。
メジャーエンブレムはまずまず良いスタートを切ったが、シゲルノコギリザメを始め、このレベルになると他にもダッシュ力の高い馬が揃っている。スタートからすぐに抜け出せない姿を見て、桜花賞の”悪夢”が一瞬過った人もいるかもしれない。
しかし、ここでルメール騎手が手綱を押してハナを主張。実は、これまでのメジャーエンブレムの逃げは、その抜群のスタートセンスとスピードの違いで「結果的に逃げる形になった」だけであり、この積極性は今までのメジャーエンブレムのスタートにはなかったパターンだ。
だからこそ、それだけ鞍上の「メジャーエンブレムらしい走りを」という気持ちが伝わってくる一幕だったといえるだろう。
「決意」のハナを切ったメジャーエンブレム。主導権争いで最大のライバルと目されていたシゲルノコギリザメ、内から好スタートを切ったシュウジらが控えたことは、彼女にとって極めて大きなアドバンテージとなった。
メジャーエンブレムにとって、理想的な単騎逃げ。前半の3ハロンが「34.3」秒、1000m通過が「57.7」秒。一見、オーバーペースにも見えるが、実はメジャーエンブレムが理想していた2月のクイーンC(G3)の前半の3ハロンが「34.4」秒、1000m通過が「57.8」秒なのだから、ほぼ完璧と述べて良い内容だろう。
あえて言葉を選ばなければ、前に有利なこの日の東京の馬場コンディションも踏まえ、この時点で「勝負は半ば決した」と述べても過言ではないくらい、メジャーエンブレムにとって完璧な前半戦だったといえる。
各馬の隊列に大きな変化もないまま4コーナーを回り、最後の直線へ。馬群が一気に凝縮され、2番手のシゲルノコギリザメも果敢にメジャーエンブレムに並び掛けるが、向こうはまだ手綱を持ったまま。
後ろの先行馬が軒並みスパートに入っているにも関わらず、逆に馬なりのままのメジャーエンブレムに突き放されていく。完全な”勝ちパターン”に入ったかのように見えた。
ただ、それでもギリギリまで追い出しを我慢するルメール騎手。大レースの勝ち方を知っている名手のクレバーな判断は、残り200mを切った後に大きくものを言うことになる。