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アタマ差で「約9億円」がスルリでも朗報!? ドバイで狙うイクイノックス超え…種牡馬オルフェーヴルが証明した「世界レベル」のダート適性
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世界最高賞金を誇るダートの世界一決定戦、サウジC(G1)が24日、サウジアラビアのキングアブドゥルアジーズ競馬場で行われ、日本馬として昨年のパンサラッサに続く連覇を狙ったウシュバテソーロ(牡7、美浦・高木登厩舎)は惜しくも2着に敗れた。
勝利まであと一歩のところでスルリとこぼれ落ちてしまった。逃げたサウジクラウンがハイペースで飛ばす展開に、リズムを狂わされた先行勢は本来の実力を発揮することなく伸びを欠いた。
ウシュバテソーロが父の再評価に貢献
そんな中、ゴール目前で優勝をさらった米国馬セニョールバスカドール、アタマ差で惜敗したウシュバテソーロは馬群から離れた後方で待機した。鞍上の川田将雅騎手は勝負どころから徐々にウシュバテソーロのポジションを押し上げて最後の直線でゴーサイン。外から力強く伸びる姿に勝利の二文字が思い浮かんだものの、さらに後ろから伸びたセニョールバスカドールに捕まったのでは相手を褒めるしかない。
「前の馬も残っていましたし、外から来ているのも分かっていましたが、勝ちきれるように彼とともに精いっぱい頑張りました」
パートナーを懸命に叱咤激励した川田騎手はそう振り返ったが、下世話な話をすると約14億1400万円(1ドル=141.40円で換算、以下同)の1着と約4億9490万円の2着では、賞金に約9億円の隔たり。もし優勝していれば、イクイノックスが持つ歴代賞金獲得賞金の22億1544万6100円を超える可能性があっただけに何とも残念な結末だったかもしれない。
とはいえ、2着でもウシュバテソーロの獲得賞金も18億7629万9800円。父のオルフェーヴルや昨年の覇者パンサラッサらを抜いて4位に浮上した。歴代1位の夢は次走のドバイワールドC(G1)へ持ち越しとなるが、仮に敗れても秋にチャンスはまだまだ残されている。
その一方で、ウシュバテソーロを輩出した父オルフェーヴルの種牡馬としての再評価も進みそうだ。既に芝でも2018年の皐月賞(G1)を制したエポカドーロやG1・4勝馬ラッキーライラックが登場したオルフェーヴルだが、ダートもジャスティン(20年カペラS・G3)やギルデッドミラー(22年武蔵野S・G3)らが活躍。芝ダート兼用の種牡馬として注目を集めていたタイミングで芝からダートに転向したウシュバテソーロが昨年のドバイワールドCを制し、世界に通用する実力を証明した。スケール感という意味では、芝よりもダートで大物登場に期待出来そうな雰囲気すらある。
「実はウシュバテソーロが初めてダートに挑戦した横浜S(3勝クラス)で4馬身差の2着に入っていたのがペプチドナイルでした。周知の通り本馬は今年のフェブラリーS優勝馬です。今思えば後のG1馬2頭の対決だった訳ですね。
惜しむらくはダート転向が5歳の4月だった点でしょうか。陣営がダート適性を見抜いて成功しましたが、欲を言えばもう少し早いタイミングだったらという気もします。結果論ではありますが、今後は最初からダート路線に使われるケースも増えてきそうですね」(競馬記者)
実際、日本競馬を席巻したサンデーサイレンスも現役時代はダートばかりで芝のレースは一度も使われたことのなかった馬だったが、日本では芝の一流馬を多数輩出したように種牡馬の適性は産駒が走ってみないと分からない。オルフェーヴル自身も父ステイゴールド、祖父サンデーサイレンスと血の繋がりを持つ。血統的な背景を考えれば、成功してもおかしくなかったといえる。
しかし、近年の芝路線でこれといった大物が登場していなかったオルフェーヴルとしては、ウシュバテソーロが類まれなダート適性を見せたのは、これ以上ない朗報である。生産者がダート向きの繁殖牝馬を集めるようになれば、第2第3のウシュバテソーロの登場にも期待が持てそうだ。
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