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浜中俊「申し訳ない気持ちで一杯」ナムラクレア痛恨の3着が呼び起こした悪夢…戦わずして勝てなかった「新スプリント王」の目覚め

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ナムラクレア
ナムラクレア 撮影:Ruriko.I

昨秋のスプリンターズSの3着が引き起こした意外な結果

「競馬に関しては悔しいの一言ですし、申し訳ない気持ちで一杯です」

 昨秋のスプリンターズS(G1)。1番人気のナムラクレアの主戦・浜中俊騎手はレース後にそう天を仰いだ。当時、6度目のG1挑戦で初の1番人気。春の高松宮記念(G1)を勝ったファストフォースはターフを去っており、1馬身差の2着だった本馬の1番人気は順当な支持だったと言えるだろう。

 しかし、レースでは絶好の1枠1番を引いたにもかかわらず、スタートで出負け。内枠が仇となってインに閉じ込められたナムラクレアは、勝負所で勝ったママコチャの川田将雅騎手に外から蓋をされて動くに動けず。最後の直線で懸命に脚を伸ばしたが3着まで。ハナ差決着した優勝争いには加われなかった。

「悔しいの一言――」“電撃決戦”と言われている通り、一瞬の判断の誤りが命取りになるスプリント戦。厳しい言い方をすれば、この敗戦は浜中騎手の判断の甘さが招いたところが大きい。ただ、本人が「申し訳ない気持ちで一杯」と謝罪している以上、外野がどうこう言うことではない。

 だが、目の前のG1制覇を逃した浜中騎手とナムラクレアにとって、もう1つ痛恨だったのが、マッドクールを2着にしてしまったことだ。言わずと知れた、今春のスプリント王である。

 ソニーの創業者の1人となる盛田昭夫氏や、ソフトバンク創業者の孫正義氏が愛読する古代中国の兵法書『孫子の兵法』には「戦わずして勝つ」という概念が記載されている。本来の意味とは少し異なるが、実は競馬においても「戦わずして勝つ」必勝法がある。要は、相手がレースに参加しなければ良いのだ。

 実際にもし、昨秋のスプリンターズSでナムラクレアがマッドクールに先着、つまりは相手を3着以下にすることができていれば、ナムラクレアは今頃、新スプリント王として今週末のキーンランドC(G3)を迎えていた可能性が極めて高い。

 何故なら、当時のマッドクールの主な勝ち鞍は春雷S(L)であり、昨秋のスプリンターズSで賞金を加算できなければ、今春の高松宮記念で除外になっていたかもしれないからだ。

 無論、マッドクールが8着に惨敗した昨年12月の香港スプリント(G1)に出走したのは、スプリンターズSで2着に好走したからこそ。もし3着以下なら、異なるレースで賞金を加算していた可能性はある。

 しかし、今春の高松宮記念は函館スプリントS(G3)の勝ち馬であるキミワクイーンや、阪急杯(G3)2着のアサカラキングが除外になるほど高い出走ボーダーだった。マッドクールも一歩間違えれば、除外対象として“幻のスプリント王”になっていたかもしれない。

 そう考えるとナムラクレアと浜中騎手にとっては、やはり昨秋のスプリンターズSの3着はあまりにも痛かったと言わざるを得ないだろう。出る杭は打たなければならなかったのだ。

 ナムラクレアがマッドクールに後塵を拝し、2度目のG1・2着を味わった高松宮記念から約半年が経つ。新スプリント王はすでにスプリンターズS直行を発表しており、今はノーザンファームしがらきで“バカンス”中だ。一方のナムラクレアは、今年もキーンランドCからスプリント界の頂点を目指す。

「連覇を決めて、いい形で大目標のスプリンターズSに向かいたいです」

『中日スポーツ』で連載する自身のコラムにそう心境を綴っている浜中騎手。もう2着はいらない。後悔も、悔しさも味わい尽くしたはずだ。

浅井宗次郎

浅井宗次郎

1980年生まれ。大手スポーツ新聞社勤務を経て、フリーライターとして独立。コパノのDr.コパ、ニシノ・セイウンの西山茂行氏、DMMバヌーシーの野本巧事業統括、パチンコライターの木村魚拓、シンガーソングライターの桃井はるこ、Mリーガーの多井隆晴、萩原聖人、二階堂亜樹、佐々木寿人など競馬・麻雀を中心に著名人のインタビュー多数。おもな編集著書「全速力 多井隆晴(サイゾー出版)」(敬称略)

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