JRA札幌記念「G1格上げ」は不可能に!? 札幌馬主の溜息が聞こえる……波乱の結果で遠のいた可能性、恨み節は直前回避のネオリアリズムへ
札幌記念の1着賞金7000万円は毎日王冠や京都大賞典よりも高く、同じG2レースの中でもランクの高いものとなっている。この賞金額の設定からもJRAは札幌記念のG1昇格に前向きととらえられる。ただし出走馬や結果に左右されるレースレーティングは、馬主や関係者の意向もあってJRAではどうしようもないところ。
しかも最終的な決断は日本グレード格付委員会の全会一致及びアジアパターン委員会における承認が必要となるため、その動向を見守るしかないのが現状だ。しかし今年G1レースに昇格した大阪杯は馬券売り上げが前年対比222.1%の153億円以上と大幅にアップしており、G1レースの増加は馬券売り上げの増加に大きく貢献するのは間違いない。それだけにJRAも期待を持ってその推移を注視しているだろう。
札幌の馬主関係者はレースレーティングを上げるため、過去何年間も札幌記念に多くの有力馬出走させるようを各関係者に働きかけていたという経緯もあった。
例えば昨年2着のモーリスは札幌馬主の中心でもある社台グループの関連馬。また過去に出走したネオリアリズム、ゴールドシップ、ハープスター、ディサイファ、ブエナビスタといった実績馬も札幌馬主の流れを組む実績馬達だ。これらの出走馬が集まったのは、すべてレースレーティングを上げるための関係者の努力の賜物といえるだろう。
しかし札幌記念は前述したように波乱の結果となってしまい、G1レース昇格に向けて暗雲が立ち込める状態になってしまった。この一因になったと考えられるのが、昨年の優勝馬であり札幌馬主協会に所属するキャロットファームの所有馬ネオリアリズムの回避だ。
ネオリアリズムは昨年の優勝馬でマイルチャンピオンシップ(G1)3着、中山記念(G2)1着、クイーンエリザベス2世カップ(G1)1着と現役トップクラスの実績馬。今年の札幌記念でも有力視され、同馬の出走でレースレーティングはかなり期待できる状況だった。しかし直前になって体調が伴わず無念の回避。もしかしたらこの時点で札幌記念は「波乱」へのフラグが立っていたのかもしれない。仮にレーティングの高い同馬が出走し上位に入線していれば、レースレーティングは基準を超えて2018年のG1レース昇格に大きく前進していただろう。
もちろんまだその道は閉ざされたわけではないが、札幌記念のG1レース昇格に向けて現状はかなり厳しい状況となってしまったことは否めない。