武豊と藤田菜七子の重賞対決は「明暗」クッキリ……JRA史上初の女性騎手による重賞制覇へ今後の「期待」と「課題」
通算4度目の重賞挑戦も残念な結果になってしまった藤田菜七子騎手だが、最近は騎乗フォームも安定してきたようで、先月はJRAで4勝を上げるなど充実した夏を過ごした。すでに昨年の勝利数を上回り、目標に掲げている年間2桁勝利にリーチが掛かっている状況と、本人は確実な成長を遂げている。
だが、その上で「今後の課題」となるのは、やはり減量の恩恵のない特別戦や重賞での結果だろう。
現在、デビューからJRA通算15勝を上げている藤田菜七子騎手は「通算30勝未満」の見習騎手として、他の騎手よりも3kgの減量恩恵がある。しかし、重賞などの特別競走とハンデキャップ競走には、その恩恵が適用されない。
実際に藤田菜七子騎手の今年の9勝は、すべて「3kgの減量恩恵がある」レースで勝利したもの。通算15勝の内、特別戦で勝利したのは昨年5月の飛竜特別だけと、今のところ明確な課題となっている。
もっとも仮に通算30勝を達成しても、50勝に到達するまでは2kgの恩恵があり、50勝後も100勝までは1kgの恩恵があるので、今のままでも順調に成長していけば今後も勝ち星自体は増えてくるはずだ。しかし、そこに頼り切っていては、重賞などの格上のレースを勝つことは難しい。
ただし、これは新人騎手を支援する制度なので、5年が経過すれば100勝に到達していなくとも対象外となる。藤田菜七子騎手に限らず、新人騎手にとって1つの節目となるが、できることなら自力で100勝に到達して”卒業”したいところだろう。
また、通算31勝に到達すればG1での騎乗も可能になる。
逆に述べれば、もし仮に現在の藤田菜七子騎手が重賞を勝ったとしても、その馬とのコンビでG1に挑むことは不可能であるということだ。今後も重賞で騎乗する機会は出てくるだろうし、これも早めにクリアしておきたい課題の1つだ。
いずれにせよ、今回は残念な結果となった藤田菜七子騎手の重賞挑戦だが、今の好調ぶりを維持できれば、近いうちに再挑戦の機会も訪れるはずだ。小倉2歳Sの馬券売上は、前年比122.4%と大きく向上した。今後も武豊騎手に続く人気者として、競馬界を盛り上げていってほしい。