M.デムーロ”補完計画”は着々と……最大の弱点克服で、「完全無欠」のジョッキーに!?

 先日、今年最初のG1となるフェブラリーSをレコードで制したM.デムーロ騎手。去年のチャンピオンズカップ(G1)も勝っていることから、これで「統一ダート王」に君臨したことになります。

 ただ一体、彼に何が起きたのでしょうか?

 こんなことを言うと「デムーロが上手いのは昔からじゃないか」という意見が飛んできそうなものですが、筆者が言いたいのはそんなことではございません。実は、つい最近まで主にネット媒体を中心に、こんな”ウワサ”が飛び交っていたのです。

 『デムーロは、ダートが下手くそ』

 他にも「芝では無敵だけど、ダートになると二流」「土なら基本スルーでOK」「ダートは人気馬で飛んでくれるから、違う意味で神」など、ひどい言われよう……。気になって調べてみると、なんと去年のチャンピオンズCまで『JRAのダート重賞を勝ったことがなかった』という驚きの事実が判明しました。

 去年のチャンピオンズCまでに重賞38勝、その内G1が12勝と抜群の勝負強さを誇っているデムーロ騎手。その一方でダートの重賞には縁がなく0勝。ダートが本流の地方競馬では、すでに重賞もバンバン勝っているのに、JRAのダートになると……。

 もしかしたら騎乗自体が少ないのかもと思ったのですが、ダートG1だけでも過去に9戦騎乗して3、10、6、14、15、2、7、4、11着……。

 惜しいレースもありましたが、芝G1での神掛かった勝負強さや、ダートで世界最高峰のドバイワールドカップ(G1)さえ勝ったことのあるデムーロ騎手からは到底考えられません。

 さらに女性の扱いに長けたイタリア人であるにもかかわらず、牝馬との相性もあまりよくないようで……牝馬でのG1勝ちがないのはもちろん、重賞38勝のうち牝馬で勝ったのは僅か6勝でした。

 ところが、初めてJRA騎手として迎えた去年のチャンピオンズCでは「苦手」と言われていたダート重賞を初勝利。いきなりG1勝利、さらにはこれまた「苦手」の牝馬で勝ってしまうのだから、さすが名手と拍手せずにはいられません。

 さらに先週に至っては土曜に牝馬で重賞制覇、日曜にはダートG1制覇と、苦手課題を克服どころか長所に変えてしまう変貌ぶりには驚愕の一言……。

「一番の要因は、昨年から日本で通年騎乗するようになって『慣れた』ことでしょうね。同じイタリア人のリスポリ騎手が短期免許で来日した際、『イタリアのダートは地方競馬のダートに似ている』と言っていました。JRAのダートは地方に比べて深いので、最初は戸惑いがあったのかもしれませんね」(競馬記者)

 確かに去年は600回以上乗っていますし、短期免許で来ていた頃と比べると「慣れ」という点では全然違うのかも……。

 今年も現在リーディング3位で25勝を挙げていますが、なんと「半分以上がダートでの勝利」というから、もはやデムーロ騎手にとってダートは得意分野なのではないでしょうか。それにしてもここまで完ぺきに弱点を補完されると、デムーロ騎手が”完全無欠”のジョッキーになる日も遠くないのかもしれません。

 もうダートのG1は2つも勝ったので、あとは牝馬のG1勝利ということになりますが、実はデムーロ騎手が昨年、晴れてJRA騎手になった際のインタビューで「一番勝ちたいG1は桜花賞」と3歳牝馬限定のレースを上げています。

 苦手課題の克服に余念がない姿勢はさすがですが「あとは”日本の若い女の子”との出会いさえあれば、文句なしなんだけど」と共に桜花賞に挑んでくれる”恋人”を探しているようでした。

 そして迎えた今年、早くもデムーロ騎手は”花嫁候補”と運命の出会いを果たしています。

 その子の名は、宝石職人の意味を持つジュエラー。デムーロ騎手が騎乗した1月のシンザン記念(G3)で、目の覚めるような末脚で2着に食い込みました。過去にシンザン記念で上位に入った女の子は、G1を7勝したジェンティルドンナや、ダイワスカーレットなど層々たる名馬ばかり。もちろん桜花賞も勝っています。

 そんな伝説的な名牝の仲間入りする資格を得たジュエラーに「凄い瞬発力。負けたのは残念だけど、凄い馬」とデムーロ騎手もベタ惚れ。その表情はやっと最愛のパートナーが見つかった喜びであふれているようでした。

「冗談だよ。うちの奥さんはJRAの裁決委員より怖いからね(笑)」

 最後にそう、茶目っけたっぷりに答える様は、まさにナンパなイタリア人だったそうです。

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