皐月賞(G1)タイムフライヤー「出走回避」寸前から復活!? 「雨」予報で思い出される「内田博幸とゴールドシップ」の奇跡
そこから約1カ月。陣営は必至の立て直しを試みたものの、皐月賞の1週前追い切りを終えた段階では「背中の疲れが取れず、出走回避も考えた」という。
しかし、レース4日前の”土壇場”最終追い切りになって、ついにタイムフライヤーが「壁」を越えた。
見守った松田調教師も『スポーツ報知』の取材に「背腰の疲れが取れて走りのバランスが良くなり、いい状態でジョッキーに乗ってもらえた。先週までの守り(疲労回復)の調整ではなく、今週は攻めることができた」と確かな手応えを掴んでいる。
「一般的に筋肉の量を増加させるには、筋肉の破壊と修復を繰り返さなければなりません。競走馬も調教やレースで筋肉が破壊され、その後の休養で『以前よりも逞しく回復』する。その現象を『超回復』と言います。
ただ馬に限らず、実際にトレーニングをし過ぎて筋肉の回復が追いつかず、そのまま不調に陥ってしまうアスリートは珍しくありません。今回のタイムフライヤーの場合も、若葉Sの走りからも一時は本来の動きが失われていたのだと思います。
しかし、ここに来て何とか回復が間に合ったという感じですね。関係者の表情も明るいですし『超回復』の効果を期待するなら、俄然楽しみになってきました」(競馬記者)
そんな2歳王者の復調と共に、「天」が味方する可能性が出てきた。レース当日、中山競馬場のある千葉県の降水確率は80%。降雨の影響は避けられない状況になりつつある。
「これまでの戦績が示す通り、タイムフライヤーは時計が掛かった方がより真価を発揮できるタイプ。昨年のホープフルSも、上がり最速が本馬の35.5秒となるようなタフな馬場コンディションでしたし、重馬場で行われた萩S(OP)での4馬身差勝利は圧巻でした。
近年の皐月賞は時計の速い決着が続いており、先週の中山もメインの春雷S(OP)が1:07.4で決着する時計の速い馬場。正直、不安があったんですが、雨が期待できるとなると話が変わってきますね。1枠1番という好枠を引きましたし、復権も期待できるのではないでしょうか」(同)
「『今年の皐月賞は凄かった』と言われるようなレースをしたい」
皐月賞の共同記者会見の席で、そう語ったのが新コンビを組む内田博幸騎手だ。