JRAデムーロ×キタノコマンドールで「ダービー制覇」へ万端? 「不思議な力」あるも意外な「悪ジンクス」が
2018年の日本ダービー(G1)は、ハイレベルな混戦模様ですでに評価が割れている。それは、稍重の馬場で行われた皐月賞の結果が、日本ダービーの参考にならなかったからだ。負けた馬の中でどれが巻き返し可能なのか、上位の馬でどれが府中の馬場に合うのか、泥んこ競馬を見て判断するのは難しい。
だが、その中で不気味に頂点を狙っている馬がいる。キタノコマンドール(牡3 栗東・池江泰寿厩舎)だ。わずか2戦で駒を進めてきた皐月賞。悪い馬場の中を2番人気ステルヴィオと同じ最速上がり(34.8秒)で追い込み、5着でダービー優先出走権を獲得。(4着ステルヴィオとはハナ差。)前残りの競馬を考えれば、ステルヴィオと同じ末脚で追い込んできたキタノコマンドールは大健闘。わずか3戦目での競馬である。
「この馬は不思議な力を持ってますね。デビューは昨年12月の阪神、芝2000mの新馬戦だったのですが、陣営のトーンはいま一つ上がってこなかったんです。調教で時計は出ているんですが歩様が硬くて、正直どこまでやれるか陣営は不安だったんですよ。しかし、終わってみれば快勝。最後は内に刺さり他馬に迷惑をかける若さを見せていましたが、レース前の状態からは誰もが勝ちきるとは思えず、この馬がレースをわかっているような、センスだけで勝った一戦でしたね」(現場記者)
もともとこの馬は、2016年に北海道苫小牧にて行われたセレクトセールで、セール中4番目の高額落札額でDMMドリームクラブが購入した馬である。DMM.comが手掛ける新しい形のクラブで、一口の金額を低く抑えて口数を増やし、より多くの競馬ファンが馬主となってもらうシステム(バヌーシー)。利益を追求するよりも感動を共有するために馬主になることを勧めている珍しいクラブで、当時かなり話題になっていた。実際に馬が走るかどうかはわからないし、出走できるかどうかもわからないが、果たしてこの馬はデビューした。しかもわずか2戦の経験だけでクラシックレースに出てきた。やはり不思議な力を持っている。
「いきなりオープンのすみれSは凄かったですよ。阪神芝2200mと距離が長くなりましたが、まったく関係がありませんでした。3コーナーから4コーナーにかけてペースがかなり上がったのですが、キタノコマンドールは最後方からその隊列の外をさらに速いスピードで上がっていき、直線を向く頃には3番手。最後は内で逃げ粘る馬をきっちり捕らえての勝利。まだ2戦目でこの競馬ですよ。強いですよ」(同記者)