JRA「未知の怪物?」セダブリランテスがブラストワンピースを襲う……新潟記念(G3)でその真価問われる
セダブリランテスが高いポテンシャルを持っていることは明らかだ。ところが、4勝の内容を良く見るとこの馬の特徴がわかる。一度として派手な勝ち方をしたことがないのだ。ダート1800メートルの新馬戦、芝1800メートルの500万下特別こそ、2着馬とは0.1秒差(ともに3/4馬身)あった。しかし、重賞のラジオNIKKEI賞と中山金杯になるとタイム差はゼロ(ともにクビ差)。
悪くないスタートから3~5番手を追走、勝負どころの4角手前から動き出す。じわじわ伸びるが、直線半ばあたりでは先頭まで届くのか不安になる部分も。ところが、ゴール直前でかなり良い脚を使い、きっちりとゴール板を先頭で通過。後ろから鋭く伸びてくる馬に差されてもいない。
かなり古い話になるが、1960年代の名馬シンザンを称した「ナタの切れ味」という言葉を思い出したくなる。シンザンは、本番レースでは2着馬をわずかに交わして1着した。シンザンとセダブリランテスを比べるのは、シンザンに失礼だろう。しかし、セダブリランテスはたった4戦しかしていない。底力がどの程度であるのかは未知である。
新潟は外伸びが目立つようになってきた。セダブリランテスは先行馬だが、内々を回る馬ではない。外目を先行して直線ではさらに外を回すというのがこれまでのパターン。外伸びはこの馬にとって有利な条件だ。手塚調教師は、アルゼンチン共和国杯も中山金杯もまだ馬が硬かったと指摘している。絶好調で出走できそうなこの新潟記念。セダブリランテスの走りに期待する。
石川裕紀人騎手は、昨年7月、セダブリランテスのラジオNIKKEI賞で重賞初制覇。それから間もなく落馬して骨折。今年の4月になってようやくターフに戻ってきた。相棒の力を信じて、いつものレースに徹するだけだ。