JRA「年度代表馬」史上最大のねじれ決着!? スペシャルウィーク白井元調教師らが”怒りの声”を上げたJRA賞の舞台裏
「ご本人もおっしゃられていましたが、かつて白井調教師が管理していたスペシャルウィークは1999年にG1を3勝する大活躍でした。それも勝ったのは天皇賞・春、天皇賞・秋、ジャパンCと日本競馬を代表する非常に価値の高いレース。
本来なら『年度代表馬当確』といえるだけの実績でしたが、1999年の年度代表馬になったのはスペシャルウィークではなく、本馬を宝塚記念と有馬記念で負かしたグラスワンダーでもなく、一年を通じて一度も日本で走らなかったエルコンドルパサーでした」(競馬記者)
白井元調教師は当時を振り返り、フランスのサンクルー大賞制覇や、凱旋門賞でも2着したエルコンドルパサーに対して「残した実績は素晴らしい」と評価。ただ、その上で「(凱旋門賞で)あの馬を負かしたモンジューが日本に来て、それをスペシャルウィークが負かした。なのに、どうしてスペシャルウィークを下に見る? “日本の競馬は欧州の競馬よりも下ですよ”と言ってるようなもんじゃないか」と改めて疑問を呈している。
「実は投票の結果、1999年の年度代表馬は”最初”はスペシャルウィークでした。ただ当時のJRA賞を受賞するには、過半数の投票(現在は1/3以上)を集める必要がありました。仮に過半数に満たない場合は、選考委員会の審議によって決定される形式だったんです。
その上で、エルコンドルパサーやグランワンダーにも票が集まっていたためスペシャルウィーク票が過半数に満たず、選考委によって再投票を行った結果、逆転でエルコンドルパサーが最優秀5歳上牡馬(現4歳上)を獲得。年度代表馬はJRA賞受賞馬しか対象にならないため、同馬がそのまま年度代表馬になった経緯があります」(同)
これだけを見ても、スペシャルウィークを管理していた白井調教師ら関係者が納得できなかったのは当然か。典型的な”ねじれ決着”といえるが、後にこの一件が大きく問題視されたことでJRA賞の選出は翌2000年から投票の過半数ではなく、1/3以上の獲得に修正されている。
「よく言えばJRAが柔軟な対処を行ったと言えるけど、逆に記者投票のシステムや、その結論に自信のない表れとも言えるよね。記者と選考委で結果が逆転するなんて、誰が見てもおかしいよ。
エルコンドルパサーの海外での活躍は、当時からすれば歴史的な偉業には違いないけど、これがもし海外で当たり前のように日本馬が活躍している現在の競馬だったら、年度代表馬はスペシャルウィークになっていたと思うよ」(関係者)
今年も有馬記念を勝ったブラストワンピースが獲得した最優秀3歳牡馬に関して、ダービー馬のワグネリアンや、ダートで著しい活躍を見せたルヴァンスレーヴを推す声も大きい。