これが大人の事情? 社台グループの思惑から日本ダービーの有力馬を読み解く

 かつて3歳G1レースは「社台グループの運動会」と話していた競馬記者がいた。過去を見れば一目瞭然だが、そう揶揄されるほどに多くの社台グループ関連馬が皐月賞、日本ダービー、オークスなどに出走し、勝利してきたのだ。

 今年の3歳G1レースを見ても、皐月賞は社台グループの生産馬が1~3着を独占、さらにオークスもソウルスターリングが、NHKマイルカップも社台グループのアエロリットが優勝とその強さを発揮している。

 日本ダービーも過去10年で5頭の社台グループ生産馬が勝ち、2着まで含めれば合計14頭が社台グループの生産馬なのである。20頭中14頭というのは相当な数であり、社台グループの力は今の日本生産界では断然の存在なのだ。

 しかし社台グループとひとくくりにいっても、本質的には「社台ファーム」「ノーザンファーム」「追分ファーム」「白老ファーム」の生産者、そして「サンデーレーシング」「社台レースホース」「社台グループオーナーズ」「G1レーシング」などのクラブ馬主に分かれており、それぞれ思惑や駆け引きがある。同じ社台グループであってもライバル同士であり、そこには日本のトップを競う熾烈な競走があるのだ。そしてそのライバル関係こそが今の日本競馬を発展させた大きな要因ともいえるだろう。

 そして日本ダービーほどの大一番ともなれば、関係者同士様々な思惑が絡み合っている。

 例えば2001年の第68回日本ダービーを優勝したのはジャングルポケットだった。同馬を生産したのはノーザンファームだが、ノーザンファーム関係者はジャングルポケットの勝利を心から歓迎していなかった。これは想定外の勝利だったからである。

 というのもジャングルポケットの母ダンスチャーマーは、ジャングルポケットが活躍する前にノーザンファームから他の牧場へ売却されていたのだ。繁殖牝馬として実績のなかったダンスチャーマーを手放したのだが、手放す前に産んだジャングルポケットが日本ダービーを勝ってしまっては、先見の明がなかったと証明するようなもの。しかしジャングルポケットはそれを嘲笑うかのような走りを見せて快勝。他のノーザンファーム生産馬は惨敗という結果となったのである。

 このような状況はまれではあるが、各出走馬には大人の事情も含めた様々な思惑があり、それを読み解くのも競馬の面白さの一つ。今年は出走馬18頭中9頭が社台グループの生産馬であり、おそらくそのほとんどが有力馬として人気を集めるだろう。というわけで今年の日本ダービーに出走する9頭に対し関係者内でどんな思惑があるのか探ってみた。

 まず日本ダービーに出走する社台グループ生産馬9頭の内訳だが、ノーザンファーム6頭、社台ファーム2頭、追分ファーム1頭となっている。ここ10年の社台グループのダービー優勝馬5頭はノーザンファーム3頭、社台ファーム1頭、白老ファーム1頭とノーザンファームの生産馬が圧倒的に強い。

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