JRA関東の「勢力図」にもちょっとした異変、躍進したのは横山武史だけじゃない!? C.ルメール追う川田将雅はゴールドシップばりの「大出遅れ」から定位置に復帰

エフフォーリア・横山武騎手 撮影:Ruriko.I

 先週の日本ダービー(G1)に皐月賞馬エフフォーリアとのコンビで無敗二冠を目論んだ横山武史騎手だったが、ダービージョッキーの貫録を見せつけた福永祐一騎手のシャフリヤールの前にハナ差の2着と惜敗した。

 昨年、関東リーディングを手にした関東の若手の有望株にとって、ほろ苦い記憶となったに違いない。

 その関東リーディングは2日現在、吉田隼人騎手が43勝を挙げて1位。白毛馬ソダシ、ステラヴェローチェの活躍も後押しとなっているのか、好調をキープしている。34勝を挙げて2位の横山武騎手に9勝差をつけて単独トップだ。

 だが、ここで注目したいのは、33勝で3位の横山和生騎手の大躍進だろう。同騎手は横山典弘騎手の長男で、三男の武史騎手にとっては兄にあたる。G1で華々しい活躍をする弟に比べて少し地味に映るかもしれないが、騎乗数で100鞍近く少ないながらも二人の差はわずか1勝でしかない。

 勿論、これは和生騎手本人の努力の賜物だろう。昨年は年間通しても30勝だったが、今年はまだ半年も終わらない段階ですでに上回ることに成功。この調子で勝ち星を積み重ねていけば、13年に記録した自身の最多勝39勝超えも時間の問題かもしれない。18年は9勝にとどまっていたことを思えば大変身といえる活躍。再び上昇気流に乗って行けそうな雰囲気だ。

 頑張っている息子たちに父の威厳を見せつけるためにも、横山典騎手はダービーの後方ポツン騎乗で注目を集めている場合ではないだろう。

 また、大きな変化があったとすれば、川田将雅騎手の「定位置復帰」である。

 19年、20年と続いて全国リーディングで、連続ワンツーのC.ルメール騎手と川田騎手。もはやテイエムオペラオーとメイショウドトウのような関係になりつつあるが、平常運転でリーディングを走るルメール騎手に対し、川田騎手は年始から絶不調。15年の宝塚記念(G1)で世紀の大出遅れをしたゴールドシップのようなビハインドからスタートした。

 一時はリーディング圏外まで落ち込んだが、春から一転して復調を見せると、ついには2位争いを続けていた福永祐一騎手や松山弘平騎手を一気に交わして単独2位まで盛り返して来た。クラシック候補といわれたダノンザキッドの離脱もあって、最近は勢いに陰りも見え始めているが、今月の宝塚記念には大阪杯(G1)を圧勝したレイパパレもスタンバイ。

 ダノンキングリーで挑む今週の安田記念(G1)でも存在感を見せておきたいところだ。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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