JRA 愛知杯(G3)「神騎乗」武豊に絶賛の嵐!? レジェンドの進路取りにファン称賛も「別角度」元JRA安藤勝己氏が着目したポイントとは

武豊騎手 撮影:Ruriko.I

 15日、中京競馬場で行われた愛知杯(G3)は、7番人気のルビーカサブランカ(牝5歳、栗東・須貝尚介厩舎)が追い比べを制して勝利。鞍上の武豊騎手は、これで36年連続JRA重賞勝利達成となった。

 16頭立てで行われた芝2000mのレース。まずまずのスタートを決めたルビーカサブランカは、1枠1番の好枠を生かして、控えて後方インで脚を溜める。

 前半1000m通過が62.3秒と、前残りの決着となった先月の中日新聞杯(G3)より遅いペース。通常なら前にいった馬が有利だが、この日は違った。当日の芝のレースでは、外を通った馬の台頭が目立っており、トラックバイアスは「内」から「外」に変わっていた。

 その傾向を踏まえて、各ジョッキーが4コーナーで外を選ぶなか、武騎手は「1番枠でインを狙おうと思っていました」と、ぽっかり開いた内を選択。外の各馬が伸びあぐねる中、ルビーカサブランカはしぶとく脚を伸ばし、同じ勝負服のマリアエレーナとの接戦を制した。

 この勝利に、ネット上の競馬ファンのSNSや掲示板は「さすが豊さん」「これは神騎乗じゃないか」「上手いイン突きでした」と、武騎手を賛辞する声で溢れた。

「いわゆる『外差し』の馬場でしたが、武騎手は枠順の利を生かしてインコースを最初から狙っていたみたいですね。ただ、直線で内ラチ沿いを走った逃げ馬のアイコンテーラーも実は5着に残っています。

外も伸びるが、内もまだまだ伸びることのできる馬場だったかもしれません。ほとんどのジョッキーが外を選んだ結果、武騎手に『どうぞ通ってください』と言わんばかりにインコースが開きました。

そんな展開を読み切った武騎手の『先見の明』と、それに応えたルビーカサブランカの力が嚙み合っての勝利と言えるでしょう」(競馬記者)

 また、ファンだけでなく、関係者からも武騎手の“神騎乗”を称賛する言葉があがっている。

 元JRA騎手の安藤勝己氏は「ユタカちゃんは52キロでもスマートに乗れるあたりが素晴らしい」と、自身のTwitterで評価。多くのファンが注目した進路取りではなく、「52キロ」に着目するのは元ジョッキーならではだろう。

 若手騎手でも減量に失敗して当日騎乗できないケースがあるなか、常に一定の体重をキープし、コンスタントに勝ち星を積み重ねている。平地G1完全制覇まであと1つとしているように大レースでの活躍が目立っているが、52歳になってもなお第一線で騎乗し続けられていることこそが、武騎手がレジェンドと言われる所以だ。

 レース後のインタビューで36年連続重賞Vを祝福され「年がばれちゃいますね」と、おどけた武騎手。「ここにきてやっと良さが出てきた感じなので、今後も楽しみ」とルビーカサブランカの将来性に言及していたが、本当に「今後も楽しみ」なのは武騎手自身も同じなのかもしれない。

(文=坂井豊吉)

<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……

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