JRAオジュウチョウサン痛恨3着で中山GJ(G1)に黄色信号…「勝った馬が強い」陣営が脱帽した「超新星」の出現と、これまでの敗戦とは異なる理由

オジュウチョウサン

 12日、阪神競馬場で行われた阪神スプリングジャンプ(G2)から始動したオジュウチョウサン(牡11歳、美浦・和田正一郎厩舎)は3着に終わった。

 単勝1.7倍の人気を裏切る形になってしまったが、今のオジュウチョウサンがかつてのような絶対的存在でないことは競馬ファンなら誰もが知るところだ。3着に敗れはしたが、昨年末の中山大障害(G1)の3着馬レオビヨンドとクビ差の接戦ならば悲観する必要はない。2kgの斤量差が埋まる中山グランドジャンプ(G1)での逆転は、十分に現実的と言えるだろう。

 だが、問題は勝ち馬だ。

「ゴーサインも自分で出していくし、本当にポテンシャルが凄い馬です」

 レース後、鞍上の西谷誠騎手がそう絶賛したエイシンクリック(牡8歳、栗東・坂口智康厩舎)は、これで3連勝。それもここ2戦の着差が2.7秒(大差)、1.6秒(10馬身差)という障害界に現れたニュースターである。

 それでも本馬が5番人気に留まったのは、西谷騎手の「あとは、実戦勘だけだと思っていました」という言葉通り昨年の3月以来、約1年ぶりのレースだったからだ。

「陣営の方々には失礼な話になってしまいますが、正直ここまで強いとは思っていませんでした。西谷騎手が『厩舎がしっかり仕上げてくれている』とコメントしていた通り、約1年ぶりでも追い切りの動きは良かったですし、好仕上がりだったと思います。

ただ、オジュウチョウサンはこのレースを得意にしていますし、この日も番手から最後の直線で逃げ馬を交わしにかかる必勝パターン。4着ビーオールアイズは10馬身突き放していますし、まさか前にいたエイシンクリックに抵抗されるどころか跳ね返されるとは思わなかったでしょうね。

レース後には(オジュウチョウサンの)石神(深一)騎手も『勝ち馬を褒めるべき。オジュウ自体に大きな失敗はありませんでした』『1年ぶりでこの内容で勝たれるのは、相当スタミナと心肺機能があると思う』と言えば、和田正調教師も『勝った馬が強い』とエイシンクリックへの警戒を深めている様子でした」(競馬記者)

 また、記者曰く今回の敗戦は「これまでとは違う」という。

 というのも、オジュウチョウサンが障害レースで敗れたパターンは「コンディション不良」もしくは「距離不足」だったというからだ。

 実際に、ここ3年で敗れた2021年の中山GJは、戦前からコンディションが不安視されており、障害レースでは2016年の中山GJ以来、約5年ぶりの1番人気陥落だった。さらに3着に敗れた東京ハイジャンプ(G2)、京都ジャンプS(G3)は共に3100m台と、オジュウチョウサンが得意にしている距離ではない。

 しかし、今回の阪神スプリングJは3900mというG1の舞台に近い長丁場。目標はあくまで次の中山GJながら、コンディション面も決して悪くはなかった。

「阪神スプリングJは3戦3勝の得意レースでしたし、今回の完敗はオジュウチョウサン陣営にとってもショックだったと思います。仮に3000m級の重賞レースで敗れても、4000m級のG1レースで勝つのが、強い障害馬の特徴。『無尽蔵のスタミナ』と言われるオジュウチョウサンは、その象徴的な馬です。

しかし、今回は3900mの舞台でしたし、エイシンクリック自身がステイヤーズS(G2)の3着馬であるように、平地時代から現役屈指のスタミナの持ち主。距離延長となるG1は、本馬にとってもさらにプラスになるかもしれません。昨年末の中山大障害のように本番で逆転とはいかないかもしれません」(同)

 エイシンクリックの母エイシンサンサンはエリザベス女王杯(G1)3着など平地で活躍したが、兄のエイシンニーザン、エーシンディーエスは共に障害重賞の勝ち馬と“ジャンパー一家”でもある。8歳で障害重賞初制覇と遅咲きではあるが、障害はこれで7戦目。まだ伸びしろがありそうだ。

「何も問題なさそうなので、本番に向けて調整していきたいです」

 レース後、そう前を向いたオジュウチョウサンの石神騎手。果たして、史上最多の6勝目を目指す中山GJで、絶対王者の貫禄は再び守られるのか。突如現れた「遅咲きの新星」が大きなライバルとして立ち塞がる。

(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。

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