JRA北九州記念(G3)「仕切り直し」モズスーパーフレアの可能性?

 18日に行われる北九州記念(G3、芝1200メートル)に出走する有力馬の1頭、モズスーパーフレア(牝4歳、栗東・音無秀孝厩舎)について検討する。

 競馬ファンは快速馬が好きだ。オーシャンS(G3、芝1200メートル)を1分7秒1という高速タイムで逃げ切ったモズスーパーフレアは、3月の高松宮記念(G1、芝1200メートル)で2番人気に支持された。結果は7枠15番からハナを奪うのにかなり時間を費やしてしまい、直線に向くとすでに余力はなく15着に大敗してしまった。しかし、これは負けるべくして負けたレース。戦前からモズスーパーフレアが高松宮記念で苦戦する要因はいくつか指摘されていた。

・中京コースは【0・0・0・2】と実績がない
・ましてや高松宮記念は逃げが決まりづらいレースである
・7枠15番からスンナリとハナを奪うのは容易ではない
・追い切りでは好タイムを出したもののラスト1Fは失速気味だった
・間隔のつまったローテーションでは好結果が出ていない

 これらの敗因の中で最も重要なのはローテーション。昨年秋から今年にかけて1200メートル戦で3勝を上げているが、前走との間隔は次のとおり。

【約2カ月】 セプテンバーS(1600万下) 1着(1分7秒0)
【約1カ月】 カーバンクルS(オープン) 1着(1分7秒0)
【約2カ月】 オーシャンS(G3) 1着(1分7秒1)

 このように最低でも1カ月の間隔を取ってこそ快速を発揮できる馬。中1週だったオパールS(オープン、芝1200メートル)では3着に沈んでいる。もちろん、中2週の高松宮記念も明らかにきついローテーション。騎乗した武豊騎手はレース後「いつもの馬の雰囲気ではなかった」とコメントしている。

 今回、モズスーパーフレアが5カ月振りの北九州記念を使うのは9月29日、中山で行われるスプリンターズS(G1、芝1200メートル)に理想的なローテーションで臨むためだ。中山であれば1分7秒0で走れる。体調が万全でありさえすれば、スプリンターズSは楽勝できるという計算が成り立つ。もちろん、スプリンターズSの前にここでも圧倒的スピードを見せつけておきたい。

 中山は【3・1・0・0】と抜群の相性を誇るが、小倉も【2・0・0・1】と悪くない。着外になった1回は新馬戦(芝1200メートル)勝利後、中1週で臨んだ小倉2歳S(G3、芝1200メートル)での7着。モズスーパーフレアにとっての鬼門のローテーションだったので仕方がなかった。小倉コースにも問題はなさそうに見えるが、実は1200メートルに変更された北九州記念で逃げ馬は一度も勝っていない。

 小倉の1200メートルはワンターンの競馬。3角までは479メートルと長い。このためハイペースになりやすく、しかも3~4角は下りとなるためスピードは落ちない。直線が短いとあって各馬の仕掛けも早くなる。重賞ともなれば逃げ馬がつぶれてしまうのもうなずける。それでも中山で発揮してきたスピードを再現できれば、モズスーパーフレアは14年目にして初の逃げ切りが可能なのではないだろうか。

 裏街道を5連勝してきた3歳馬ディアンドルの真価は不明だ。ディアンドルがまだホンモノではないとすれば、モズスーパーフレアを狙うのが正解かもしれない。穴党ファンであれば、モズスーパーフレアが北九州記念で敗北して、人気の落ちるスプリンターズSでこそ狙いたいという考えも成り立つ。

 ところが先日、桜花賞(G1、芝1600メートル)をレコードで制したグランアレグリアがスプリンターズSへの参戦を表明。北九州記念が始まる前からスプリンターズSが熱くなってきた。今年のスプリント戦線は例年になく盛り上がりそうだ。そのためにもモズスーパーフレアにはここでも持ち前の快速を発揮してほしい。

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