JRA蛯名正義「責任を果たして、休むことができる」“集大成”菊花賞(G1)獲りへ、良血開花のステイヤーが5馬身差圧勝!
「ここを勝てば、トライアルを使わずに(菊花賞へ)行けると思う」
競馬界を牽引してきた大ベテランが“集大成”へ静かな闘志を燃やしている。
18日、新潟競馬場で行われた阿賀野川特別(1000万下)は、蛯名正義騎乗の1番人気のホウオウサーベル(牡3歳、美浦・奥村武厩舎)が5馬身差で圧勝。大目標の菊花賞(G1)へ向け、その存在を大きくアピールした。
「少しずつ競走馬らしくなって、気持ちのメリハリもついてきた。(持っている)能力が出せるようになったね」
まさに本格化を告げる圧勝劇だった。13頭立ての芝2200mで行われたレースは、最後の直線で早めに抜け出したホウオウサーベルが、後続をグングン引き離す力強い走り。最後は蛯名騎手が後続を振り返る余裕まであった。
「オッズ的にも、同じ3歳の評判馬プランドラーとの一騎打ちと思われていましたが、今回はホウオウサーベルのワンサイドの競馬。力が違いましたね。
春のクラシック出走には届きませんでしたが、もともとオークス(G1)3着で、紫苑S(G3)を勝ったビッシュの半弟として期待されていた馬。5月の遅生まれということもあって、ここに来て、急速に力を付けている印象です。
阿賀野川特別は菊花賞と関連性の強いレースで、昨年のユーキャンスマイル、一昨年のポポカテペトルと、勝ち馬が2年連続で菊花賞3着に好走中。ホウオウサーベルの勝ちっぷりは2頭と遜色ありませんし、距離が伸びていいハーツクライ産駒なので、3着以上の結果を期待したいですね」(競馬記者)
この圧勝劇に、ホウオウサーベルを管理する奥村調教師も「言うことない競馬」と興奮気味。「遅生まれで良くなってくるのを想像していたし、ダービーを諦めた時点で組んだローテ通り」と、最後の一冠に向けて視界良好だ。
一方、「ここを勝てば、トライアルを使わずに(菊花賞へ)行けると思う」と語った蛯名騎手は来月18日に行われる調教師免許1次試験へ向け、今後は騎乗を休業する見込み。
もっとも10月の菊花賞時には復帰している見込みで、ホウオウサーベルとのコンビで2016年皐月賞(G1、ディーマジェスティ)以来のクラシック制覇を見据える。「責任を果たして、休むことができる」という、蛯名騎手らしいコメントが印象的だった。