JRAデム―ロ「不死身」の身体能力に現場驚愕。超絶斜行でも「無傷」で次レース勝利
24日(土)に新潟競馬場で行われた新馬戦で、あわや大惨事になりかねない事態が発生した。
M.デムーロ騎手が騎乗するサイモンハロルド(牡2歳、栗東・森秀行厩舎)が、最後の直線で急に外側に逃避。予想もしない動きだったため、デムーロ騎手が振り落とされそうになった。競馬場はその後訪れる悲劇を想像したファンの悲鳴に包まれたものの、デムーロ騎手は片足の鐙を外し、手綱を握りながら、まるで馬から降りるように落馬。受け身もちゃんととれたようで、すぐさま立ち上がると落としたムチを拾い、駆け足で引き上げている。
「大きく外に出ていたのが不幸中の幸いでしたね。もう少しウチだったら、後続馬も巻き込む大きな事故になったかもしれません。ミルコは『直線に入る前から動きが怪しかった。外に外に行こうとしていた』と明かしています。最内を進んでいたサイモンハロルドに被せてきた馬がいたので、『一度は助かった。ただ、その馬が抜けたら急に飛んで行った』と振り返っていました。
馬は右からムチを入れれば、左にヨレるというのが競馬界の共通認識。それが右を叩いて、さらに右に行くのだから、ミルコだけではなく、見ている騎手たちも肝を冷やしたみたいです。翌日も北村宏司騎手や横山典弘騎手ら、騎手の間ではこの新馬戦の話題でもちきり。デムーロ騎手も『あれは本当に死ぬかと思った。後ろを巻き添えにしてたらもっとヤバかった』と話していましたよ」(競馬誌ライター)
九死に一生を得たデムーロ騎手。今回、大事につながらなかったのは、運も味方したこともさることながら、デムーロ騎手の身体能力の高さも事故回避の大きな要因だと、若手騎手は語る。
「デムーロ騎手の身体能力は半端ないですからね。トップスピードを出している馬に騎乗し、さらに追う動作をしている最中に、まるであの横にスライドするかのような動きをされると、並の騎手ならばなにもできずに大怪我を負っていますよ。
それなのに、どうすればいいのかを瞬時に判断し、一番リスクが少ない方法を使って無傷で生還。しかも頭も打っていないので、検査の必要すらありません。それで次のレースもあっさりと後続に2馬身差つけて勝ってましたからね。『人間業じゃない』ってみんな驚いていましたよ」(関東の某若手騎手)
現在は62勝をあげ、騎手リーディングでは8位と、“らしくない”位置にいるデムーロ騎手。だが最近、成績は上昇傾向にあり、関係者も「デムーロ騎手は以前、なにか悩みごとがあったのか、暗い顔をしていることも多かったけど、最近では笑顔も増えはじめている。それに関東がよほど居心地がいいのか、秋からも主戦場にすると決心したみたい。完全復活も近いかもしれない」と話す。
運とその高い身体能力から生み出される実力が噛み合い始めた感もあるデムーロ騎手。ここからどれだけ巻き返すことができるのだろうか? 秋以降の活躍に注目したい。