武豊「ゴールドシップの大器」サトノゴールドで札幌2歳Sは有利? 新種牡馬争いで抜け出せるか
新馬戦のサトノゴールドはポンと好スタートを決めると、1000メートル通過1分6秒7という超スローにも関わらずピタリと折り合った。3角で逃げるカガジャドールに並びかけると、更に外からプントファイヤーも迫ってくる。4角まではこの3頭による雁行状態が続いた。直線に入ると、サトノゴールドが満を持して粘るプントファイヤーを一瞬で突き放して優勝した。
サトノゴールドの父は新種牡馬ゴールドシップ。ゴールドシップ自身は父ステイゴールド、母の父メジロマックイーンというニックス(高い能力のある競走馬が生まれる可能性を持つ配合)が注目された。というのも、ゴールドシップと同じニックスを持つ1年先輩のオルフェーヴルがクラシック3冠を制し、ゴールドシップも皐月賞(G1、芝2000メートル)と菊花賞(G1、芝3000メートル)を優勝したからだ。
しかし、やはり血統は永遠の神秘。いつしかステイゴールド×メジロマックイーンというニックスが華々しく語られることはなくなった。とはいえ日本競馬を支えてきた多くの血脈を持つ魅力は大きく、オルフェーヴルとゴールドシップには種牡馬としての期待が寄せられることになった。
オルフェーヴルの初年度産駒は現4歳世代であり、ラッキーライラックが2歳時に阪神JF(G1、芝1600メートル)を優勝、エポカドーロが3歳クラシック第1弾皐月賞(G1、芝2000メートル)を制した。しかし、決してコンスタントに好成績を上げているわけではなく、昨年度の勝ち馬率は21.9%とかなり悪い。今後も一発屋種牡馬としての傾向が続いていきそうだ。
ゴールドシップもオルフェーヴルと同様の種牡馬になっていくのだろうか。オルフェーヴルは社台SSに繋養されているがゴールドシップはビッグレッドファームで供用。繁殖牝馬の質などでオルフェーヴルよりも不利な面も少なくない。実際、サトノゴールドがゴールドシップ産駒の初勝利だった。
現役時代におけるオルフェーヴルとゴールドシップの最大の欠点が気性難。心身が万全の状態であれば爆発的な力を発揮する一方、気分を損なうと走るのを止めてしまう面があった。サトノゴールドの新馬戦はぴたりと折り合った優等生的な競馬だったとも言えるが、騎乗した武豊騎手はレース後「気性が幼くて、走る方に集中していなくて…。最後の1ハロンだけですかね、真面目に走ったのは」とコメントしている。
高い素質を受け継いでいるものの、現状、まだ成長途上なのだろう。とはいえ札幌2歳Sは2戦目。変わり身を見せれば荒々しいパワーを見せてくれることも可能だろう。最終追い切りは札幌・芝で6F85秒5-1F11秒6とまずまず切れた。陣営は、まだフワフワしているところもあるが、初戦より良くなっていると納得。本番でスイッチが入るかどうかが問題になる。
日本競馬の代表的なG1レースの優勝馬の父が競馬ファンにおなじみである内国産種牡馬であることが当たり前になったのはキングマンボ系のキングカメハメハやサンデーサイレンス系のディープインパクトが登場してからのことであり、まだ10年も経っていない。ところが今年、キングカメハメハとディープインパクトが早逝して日本の種牡馬界は大きな変化を余儀なくされる。
将来の日本競馬を担うことが期待される種牡馬は多いが、その中の1頭がサトノゴールドの父であるゴールドシップ。サトノゴールドが札幌2歳Sを優勝すれば、来春の3歳クラシック戦線の有力候補になる。今年の2歳戦、来年の3歳戦はキングカメハメハとディープインパクトを超える種牡馬探しの旅になりそうだ。