JRAローズS(G2)ウィクトーリアの「自在性」一気のG1獲得へ好走必須
15日(日)、阪神競馬場のメインレースは秋華賞(G1)トライアルのローズS(G2)。秋華賞はこれまで23回行われているが、ローズSの着順が3着以内だった馬が【9・13・8・36】。3着内率は実に45.5%と本番との親和性が極めて高い。今年も、牝馬クラシック最後の1冠を狙う素質馬が多く顔を揃えているが、なかでも人気を集めると見られているのが、ウィクトーリア(牝3歳、美浦・小島茂之厩舎)だ。
ウィクトーリアは函館の新馬戦で逃げてレコードV。続く札幌2歳S(G3)は2番人気ながら7着、赤松賞(500万下)でも3番人気に支持されるも5着と、その後が続かなかった。
しかし、今年の始動戦3歳500万下を逃げて快勝。続くフローラS(G2)では、戸崎圭太騎手とコンビを結成した。陣営は戦前、逃げ宣言をしていたものの、スタート直後に横の馬と接触。大きく出遅れを余儀なくされる。
だがペースが流れていたので追い込みも可能と判断したのか、戸崎騎手は無理に上がることもなく、後方で脚をためることを選択。4角手前でも中団後方だったウィクトーリアだが、馬群を縫うようにして徐々に外に出されると、前が空いた瞬間にエンジン点火。上がり最速となる33秒2の脚を使って快勝し、オークス(G1)への出走権を手にした。
レース後、管理する小島調教師すらも「これまでのレースぶりから先に行けないとダメな馬だと思っていました」「出遅れた時にはダメだと思いました」などと語っていた。ウィクトーリアは管理する調教師の想像すら凌駕する能力を発揮してトライアルでの勝利を掴むことに成功している。
そして迎えたオークス。またしてもウィクトーリアは出負けするが、それすらも折込み済みとばかりに戸崎騎手は動じない。後方からウチ目に進路を取り、ロスなく進むことを選択する。最後の直線でもまだ後方。ここから外に出すかと思いきや、戸崎騎手は馬場の中央を縫うように進むことを決断。力強く進出し、次々にライバルたちを交わしていくウィクトーリア。だが、3着争いが精一杯。死力を尽くすも、わずかクビ差届かず4着に終わっていた。
「戦前、陣営は2400mという距離について『未知の部分がある』と不安げに語っていたものの、それを払拭するような見事な走りを見せました。この成長力は凄まじいものがありますね。
スタートには問題を抱えているものの、いい意味で開き直ったのか、陣営は『自分のリズムで走れれば、逃げても後ろからでも、どちらでも大丈夫』と楽観視していましたよ。この自在性も武器となってくれそうです」(競馬記者)
ウィクトーリアは1週前追い切りで併せ馬。CWコースを5F66秒7、ラスト11秒7で駆け抜け、僚馬に2馬身半差つけてみせている。調整は順調に進んでいるようだ。
春は涙を呑んだウィクトーリア。秋はローズSを勝ち、いい形で本番に向かい、ライバルたちにリベンジを果たすことができるのだろうか?