L.デットーリ騎手「号泣」エネイブル凱旋門賞(G1)敗戦に……引退濃厚も「来年トライしたい」世界女王の現役続行を熱望
12日、今秋の凱旋門賞(G1)で2着に敗れ、3連覇を逃したエネイブルの主戦L.デットーリ騎手が英国のテレビ番組に登場し、今の心境を語った。英レーシングポストが報じている。
この秋、前人未到の凱旋門賞3連覇に挑んだエネイブル。最後の直線では一度先頭に立ったが、最後にヴァルドガイストの強襲を受けて2着。2017年から続いていた連勝が12で止まり、レース後には引退濃厚報道も飛び交った。
番組内でデットーリ騎手は、レース当日を振り返り「驚いた。検量室を出るとすぐに人々が叫び、暴れていた。サッカーのスタジアムのようで、競馬場の雰囲気ではなかった」と、レース前から異様な雰囲気であったことを告白。
レースでは「観衆は『エネイブル』とは叫ばず、私の名前を叫んでいた。私はそういう応援を予想していなかった」と話し、最後の直線で先頭に立った際には「思った通りだった。素晴らしい位置だったし、馬場の良いところを走って、息を入れることもできた」と、ほぼ勝利を確信していたという。
しかし、ゴール前でヴァルドガイストが強襲した際は「残り100ヤードでアンドレ・ファーブルの馬(ヴァルドガイスト)が来るまでは、すべてが上手くいっていた」と悔しそうに振り返っている。
「客観的にもエネイブルはスムーズに走れていましたし、ほとんど完璧なレース運びだったと思います。最後の直線で(エネイブルを管理する)ゴスデン調教師がライバル視していたソットサスやジャパンら3歳勢を突き放した際は3連覇するのでは、と思いました。
ただ、そこからのヴァルドガイストの伸びは驚愕でしたね。エネイブルがやや止まったこともありますが、1頭だけ素晴らしい伸び脚でした」(競馬記者)
レース後、当時デットーリ騎手は「状態も良かったし、良く走ってくれたけど、あまりにも馬場が悪過ぎたのが響いた」と重馬場を敗因に挙げていたが、番組内でも改めて「もし馬場が良ければ、(ヴァルドガイストより)先にゴールできていたと思います」とコメント。快進撃を続けた世界女王は、最後の最後で天に見放された。
さらにデットーリ騎手は「私は日曜(凱旋門賞当日)の夜、涙を流しました」とレースを終えた夜に泣いたことを告白。長年、世界のトップジョッキーとしてあらゆるビッグタイトルを手にしてきたデットーリ騎手だが、やはりエネイブルの敗戦はショックだったようだ。
また、エネイブルの今後に対しては、すでに5歳ということもあって引退が濃厚とされている。しかし、約2 年間、思いを共にした主戦騎手は「(オーナーの)アブドゥラ殿下が、彼女をこのまま現役で走らせるように願っている。私たちは来年も(凱旋門賞へ)トライしたい」と現役続行を熱望。
果たして、デットーリ騎手の思いは届くのだろうか。世界女王の動向が注目されている。