菊花賞(G1)武豊「断トツで一番」ワールドプレミア期待大も……「豊マジック」炸裂のユーキャンスマイル、エアスピネルとの「大きな違い」
「今まで乗った調教の中では、断トツで一番よかった」
20日に京都競馬場で開催される菊花賞(G1)の1週前追い切り、歴代最多の4勝を誇るレジェンド武豊騎手の声が弾んだ。
栗東のCウッドで行われた1週前追い切りで、ワールドプレミア(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)は6ハロン82.1秒、ラスト12.4秒。単走ながら最後までしっかりした足取りが印象的だった。
この走りには主戦騎手も「前回より、いいフォーム」と手応え。神戸新聞杯(G2)からの確かな良化を感じ取っている。
春のクラシック戦線では若葉S(OP)2着で皐月賞(G1)の優先出走権を得ながらも、秋まで充電に充てたワールドプレミア。これには武豊騎手も「いい方に出ていると思う」と成長を感じ取っている。皐月賞馬、ダービー馬不在となれば、チャンスがあるはずだ。
昔から「長距離戦は騎手の腕」といわれている通り、長丁場における騎手の技量は大きな武器となる。その点、歴代最多の菊花賞4勝を誇る武豊騎手は、ここ3年でも2度の馬券圏。昨年は10番人気のユーキャンスマイルで3着など、その手腕は健在。
ユーキャンスマイルと同じ武豊騎手×友道康夫厩舎であれば、ワールドプレミアのバックボーンはライバルたちに大きなアドバンテージがあるといえるだろう。
「ただ、その『騎手の腕』を活かせるかが問題ですね。ここ3年で武豊騎手が馬券圏内に持ってきたユーキャンスマイルやエアスピネルは、立ち回りの上手さが武器の馬たちでした。
しかし、今年のワールドプレミアはもともとエンジンの掛かりに時間が掛かる不器用なタイプ。気性面に不安もあり、単純に溜めて直線に懸ける走りしかできないようであれば、武豊騎手の作戦も限られてしまいます。その辺りがどう出るかですね」(競馬記者)
実際に前走の神戸新聞杯(G2)では、1000m通過が63.4秒という超スローだったこともあって、道中で折り合いを欠くシーンも。レース後、武豊騎手も「(春からの)気性面の成長が伺えず残念」とワールドプレミアの課題を指摘している。
「苦手な“ヨーイドン”の形になっても(他馬に)置かれなかった」と相棒を評価しているが、逆に述べれば、折り合いを欠いたため、苦手なヨーイドンの形にならざるを得なかったというわけだ。