JRA「祝賀御列の儀」エリザベス女王杯(G1)必然の完勝劇!? 日本中を感動させた「馬上最敬礼」から14年、松永幹夫「伝説」の数々
10日に京都競馬場で行われたエリザベス女王杯(G1)は、3番人気のラッキーライラック(牝4歳、栗東・松永幹夫厩舎)が完全復活を印象付ける快勝。最上女王アーモンドアイと同世代として、悔しい思いを味わってきた2歳女王が、苦難を乗り越えて大輪の花を咲かせた。
18頭立てで行われた芝2200mのレース。レース後、C.スミヨン騎手が「スタートがそこまで良くなく後ろの位置になってしまった」と振り返った通り、1枠2番のラッキーライラックのスタートはあまり良くはなかった。
しかし、それが返ってよかったのかもしれない。最後は目の覚めるような末脚で突き抜けたが、スミヨン騎手が「前走より距離が伸びているし、無理に位置を上げても意味がない」と決断したことが功を奏した。
ただ、最大の勝因となったのは「4コーナー前で加速がついたので、外を回ろうと一瞬思ったが、パッと右側を見たら内が空いていたので、内を突いた」と振り返っている通り、勝負所でぽっかりとインが開いたことだろう。「ラッキーだった」と謙遜したスミヨン騎手だが当然、高い技術と決断力があって結果だ。
午後3時から「祝賀御列(おんれつ)の儀」のパレードが始まったこの日、競馬ファンにはお馴染みの『みんなのKEIBA』(フジテレビ)が中継で放送されないなど、エリザベス女王杯(G1)はまさにパレードの真っ最中に発走を迎えた。
そんな記念すべき日。レースを制したのは、やはり「この男」だった。
「ラッキーライラックを管理しているのが、松永幹夫調教師ということもあって、レース後には関係者や一部のファンからも『やはり持ってる』という声がありましたね。
というのも、松永調教師は騎手時代の2005年、日本競馬史上初の天覧競馬として行われた天皇賞・秋(G1)を制した人。競馬界を代表して勝ったヘヴンリーロマンスの馬上からスタンドへ最敬礼した姿は、多くのファンの記憶に感動とともに残っています。
こんな日に勝つ辺りが、いかにも松永幹夫さん。1枠ラッキーライラックの『白』と3枠クロコスミアの『赤』の“日の丸馬券”も完璧な演出でした(笑)」(競馬記者)
「持ってる」という面では、松永幹調教師は騎手引退となる最後日に行われた2006年の阪急杯(G3)を11番人気だったブルーショットガンで勝利。さらに最終レースも連勝して、通算1400勝の区切りをつけて引退した「伝説」は、今でもファンの間で語り草だ。
競馬史に残るヘヴンリーロマンスの最敬礼から14年。競馬界随一の“持ってる男”が、今度は祝賀御列の儀のパレード中に行われたG1レースで、ラッキーライラック(幸運のシンボル)という祝いの花を添えた。