武豊「JRA、ここまでやるか」ディープインパクト社会現象を語る! 「現実を受け入れたくない」凱旋門賞の悲劇まで特設サイトで徹底検証
レースでは、これまで以上に掛かったディープインパクトに武豊騎手も「普通の馬なら、あれだけ掛かったら無理」とコメント。単勝1.0倍の元返しに応え、見事無敗の三冠を達成した際は「嬉しかったですね。夢が一つ叶った。ゴールした時はホッとした」と語っている。
ディープインパクトはその後、3歳最後の有馬記念でデビューからの連勝が7でストップしたものの、年度代表馬に選出され、古馬になってからも天皇賞・春(G1)、宝塚記念(G1)と再び連勝街道をひた走った。
「現実を受け入れたくない気分でしたね――」
4歳秋には、日本を代表してフランスの凱旋門賞(G1)に挑戦することになったが、武豊騎手は「行かなきゃいけない馬。こういう馬が(凱旋門賞を)勝つんじゃないかと思っていました」と、かつてない自信に満ちていたようだ。
しかし、レースでは最後の直線で伸びあぐねて3着。「ラストがやっぱり、(いつもの)飛ぶような走りがでなかった」と振り返っている。
「ショックですよ、それは。凱旋門賞ですからね。勝ちたい気持ちもすごい強いですし『勝たなきゃいけない』という責任も感じていましたからね」
その後、ディープインパクトからフランス競馬における禁止薬物イプラトロピウムが検出され、凱旋門賞の成績は「失格」扱いに。帰国後、ジャパンCで復活を告げる勝利を上げたが、引退レースとなった有馬記念でも、武豊騎手にはレース中に「ああ、これで最後か」と何度か感慨にふける余裕まであったという。
「デビューから一番良いレースができた。『最後にか』という感じでしたけどね(笑)」と、最後の有馬記念を振り返っている武豊騎手。稀代の名コンビは最後の最後で完成の時を迎えたようだ。
引退時には「もう乗れないのか」という寂しさと同時に「無事に、強いディープのまま終わることができた」という歴史的名馬の主戦騎手ならでは重責もあったようだ。