JRA「交通費支給」「異例の決断」東京から障害レースが消えた裏事情
東京開催が始まって気付いた人も多いかもしれないが、今開催の東京では障害レースが組まれておらず、全て京都での施行となっている。
これには理由があり、「この時期の東京開催は雪などで中止になったり、滑るから安全の確保が困難として、JRAは障害レースのみを中止にするなど苦慮していました。
そこで、JRAサイドからは京都での障害レース開催を提案され、こちらとしては交通費などを負担してくれればという事でOKしました。毎週1鞍、2鞍のために京都まで往復すると赤字になる可能性もありますし……」(ある障害騎手)
JRAとしても新馬戦の除外ラッシュに対して現場からずっと苦情が出ていたため、ともすれば中止になる可能性が高い障害レースには開催リスクも考えないといけなくなる。
これを東京よりは中止になりにくい京都で開催することによって、関東で1鞍でも多く平場のレースを組めれば緩和できるという思惑があったのは想像に難しくない。
実際、年末から年明けの中山は除外ラッシュ続きで酷かったが、先週開催の平場戦では、土曜・東京で新馬ダ1400m、未勝利戦ダート1600m、土曜・京都で新馬戦ダート1200mなど、フルゲートのレースが大半を占めた。
新馬戦では騎手が足りないときに、障害騎手も駆り出されることも珍しくはない。だが、これによりかなり捌けたようで、問題となっていた除外ラッシュも少しは緩和されたらしい。そのせいもあってか、障害騎手側の不満の声もかなり少なくなったようだ。
確かに今年の開催では東京の障害レースがなく、京都での開催が例年に比して倍以上となっており、JRAなりの対策が見て取れる現状である。
平地のレースに比べると何かと軽く見られがちな障害レースではあるが、障害好きの熱心なファンも数多くいる。
阪神スプリングJ(J・G2)では絶対王者オジュウチョウサンと2019年度の最優秀障害馬に選ばれたシングンマイケルの注目の対決があるのではといわれており、興味は尽きない。
安全、かつ公正な開催のためにも、われわれ競馬ファンとしては好天での開催を願うばかりである。
◆昨年GWの東京開催では「雹で中止」となる珍事も
昨年5月4日の東京開催は10Rの馬場入り前後から大粒の雹が降り続けた結果、安全確保の見通しが立たず中止となった。
ルメール騎手は「雹が身体に当たって痛かったし、雷も鳴っていて、安全な状態で競馬ができる天気ではなかったと思います」と驚きを隠せず。内田騎手は「30年以上乗ってきたけど、こんなことは初めて。すごかった」と前代未聞のハプニングを振り返った。