JRA武豊×女王レシステンシアは「必然」の再会?「ちゃんと入るので叩かないで」陣営が感謝してやまない「馬」優先主義
騎乗予定だったフィリーズレビュー(G2)の有力馬ヒメノカリスの回避が決定した直後だっただけに、レース当日が誕生日の武豊騎手にとっては思わぬ“プレゼント”となった。
レシステンシアは、昨年の阪神JF(G1)を5馬身差のレコード勝ち。最優秀2歳牝馬に選ばれた2歳女王だ。今年初戦となるチューリップ賞(G2)では、単勝オッズ1.4番の圧倒的支持を受けたが、3着に敗れていた。陣営にとっても最多5勝を誇る桜花賞男・武豊騎手の騎乗は非常に頼もしいパートナーを得たといえる。
振り返れば、レシステンシアのデビュー戦の手綱を取ったのは武豊騎手だった。新馬勝ち後に「走りそうですし、まだ良くなる余地もありそうです」とコメントしており、将来性に期待を寄せていた馬と再びコンビを組むことになった。
「武豊騎手に感謝している」
一方、そう語るのはレシステンシア陣営だ。デビューから3連勝で世代の頂点に立ったレシステンシアだが、その礎にはレジェンドの馬に対する思いやりがあったという。武豊×レシステンシアのコンビ結成の背景には、陣営からの希望もあったかもしれない。
「デビュー戦でレシステンシアがゲート入りを嫌った際、スタート担当の係員がムチで叩いて入れようとしたところを、武騎手が『ちゃんと入るので、叩かないで欲しい』と係員を止めてくれたようです。
馬は記憶力がいいといわれています。デビュー戦の2歳牝馬が嫌な思いをすると、恐怖心を抱き、レース自体が嫌いになる可能性も少なからずあったわけです。それだけにレシステンシアの担当厩務員が将来のことも考えてくれた武騎手に非常に感謝していました」(競馬関係者)
これまで数多くの馬の手綱を取り、競馬界を引っ張ってきた第一人者の武豊騎手らしいエピソードといえる。
また、同馬を管理する松下武士調教師は、かつてキタサンブラックの清水久詞厩舎に所属していた。
清水厩舎時代にはトウケイヘイローの海外遠征にも同行するなど武豊騎手との馴染みもある。人も馬も大切に想う武騎手がこれまで紡いできた縁が、今回の乗り替りに繋がったのかもしれない。
勝てば史上初となる桜花賞6勝目を狙う武豊騎手にとっては、思わぬ「誕生日プレゼント」が舞い込んできたことになる。