JRA川田将雅は名手なのに「長距離」苦手? 阪神大賞典(G2)キセキ、17年菊花賞以来の3000m戦で本領発揮なるか!

 阪神3000mを舞台に行われる春の名物長距離レース、阪神大賞典(G2)が22日(日)に行われる。もっとも注目したいのは、メンバー唯一のG1馬で、G1レース2着が3度という実績を誇るキセキ(牡6歳、栗東・角居勝彦厩舎)だ。

 16日15時時点、『netkeiba.com』の事前予想では単勝オッズ2.1倍の1番人気に挙げられている2017年の菊花賞馬。その時以来の“マラソン”レースで春の大目標、天皇賞・春(G1)へ弾みをつけることはできるだろうか。

 キセキは昨秋、果敢に凱旋門賞(G1)に挑戦するも7着と結果を出せず。その後、暮れの有馬記念(G1)に出走し、5着に敗れた後は放牧に出ていた。1月末の帰厩後は、坂路を中心に精力的に乗り込まれている。

 11日の1週前追い切りでは、栗東のCウッドで6ハロン80秒7-37秒3-11秒9の好時計をマーク。3か月の休み明けでも状態に問題はなさそうだ。

 2017年の菊花賞制覇を最後に勝利から遠ざかっているキセキだが、古馬になってからは国内外で中長距離の王道路線を歩んできた。18年秋には毎日王冠(G2)をステップに天皇賞・秋(3着)~ジャパンC(2着)~有馬記念(5着)のG1・3レースを皆勤。持ち前のスタミナを武器に、その後も古馬G1戦線で常に上位争いを演じてきた。

 今回は鞍上を川田将雅騎手に戻し、必勝態勢。「キセキ×川田」のコンビは通算「0-3-3-1」と勝ち鞍こそないが、高い複勝率(85.7%)を誇る。手が合う騎手に戻り、G2なら確勝級と言いたいところだ。

 だが、不安のタネもある。

 現在全国リーディング断然1位、現役屈指の名手・川田騎手だが、キャリアを通じて長距離レースは比較的苦手にしている。3000m以上のレースは通算「2-1-3-34」。重賞に絞ると「1-1-3-27」と、ここ数年リーディング争い常連の名手としては不本意な数字が残っている。キセキを菊花賞で勝たせたのもM.デムーロ騎手だ。

 展開面でも、他馬からマークを受ける厳しい競馬となりそうだ。絶対的な逃げ馬不在の今回、キセキが押し出される形で逃げる展開も考えられる。ただし、逃げ馬はこのレース過去10年で「0-0-3-7」の連対なし。一方、先行した馬は「5-5-3-22」の良績を残しており、キセキとすれば、逃げ馬を前に見る形で2~3番手を進む形が理想だろう。

 スローの瞬発力勝負になると伏兵に足をすくわれる可能性も考えられるため、道中は中団に控え、ロングスパートに打って出る可能性もありそうだ。どちらにしても展開が大きなカギを握ることは間違いない。

 天皇賞・春が大目標のキセキだが、まずは前哨戦でG1馬としての意地を見せ、堂々と本番へ向かいたいところ。無尽蔵のスタミナを発揮し、久々の“マラソン”レースで2年5か月ぶりの勝利をつかむことはできるだろうか。

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