JRA「きっかけ」はR.ムーア!阪神大賞典(G2)川田将雅がキセキを「覚醒」させる!?
22日(日)に阪神競馬場で開催される阪神大賞典(G2)に2017年の菊花賞(G1)馬・キセキ(牡6歳、栗東・角居勝彦厩舎)が出走する。2年5か月ぶりの長距離レースだが、メンバー唯一のG1馬のため、ここでは主役の座は譲れない。
18日に栗東CWコースで最終追い切りが行われ、5ハロン67.5秒、ラスト11.8秒の時計を記録した。1週前追い切りの時点で既に仕上がっていたこともあり、「必要以上に抑え込まないようにしました。乗り込み十分で力を出せる仕上がりです」と陣営はコメント。レースに向けて万全の仕上がりだ。
今回、阪神大賞典で久々の長距離挑戦で不安もあるが、好走必至の裏付けがあるようだ。
菊花賞を制した後は、掲示板にすら載らない不振に陥ったキセキ。転機となったのは、18年の毎日王冠(G2)で川田将雅騎手と初コンビを組んだことだ。それまでの追い込みスタイルを一変し、先行のスタイルをとった。これが功を奏し、3着に粘りこむ成功を収める。
その後も、レースを先団から進めるようになり、G1で2着3回の好走を見せる。しかし、悩みの種は「勝ちきれない」という点だ。
「18年のジャパンC(G1)はアーモンドアイさえいなければ、レコード更新の逃げ切り勝ちのはずでした。また昨年の大阪杯(G1)もタイム差なしの2着と惜しい内容です。実力がある馬だけに、運がないに尽きますね。
今回、6歳になったキセキが久々に長距離へ出走するのは、世界の名手の助言がきっかけのようです」(競馬記者)
昨年の有馬記念(G1)で新しい一面を見せる。先行が板についたキセキだが、スタートで出遅れてしまう。騎乗したR.ムーア騎手は無理に前に押し出すことなく、後方からの競馬を選択。久々に追い込みを図ったレースで、結果は5着と上々の内容だった。
レース後、ムーア騎手から「今は長距離レースの方が向いているのでは」と提言されたことを角居調教師が明かしている。これが今回の阪神大賞典出走のきっかけというわけだ。
長距離について陣営は「今の道中の溜めが効く感じから、3000mをこなせると思います」と適性を感じており、年齢を重ねて落ち着きが出たことが脚質の再転換に繋がったとしている。
また位置取りについては角居調教師は「レースは騎手に任せますが、今の雰囲気を見ていたら『後ろ』からになりそう」とコメントしていることから、有馬記念のような位置取りの可能性が高い。
そして今回の阪神大賞典では、かつてキセキを逃げ馬として成功させた川田騎手とのコンビが復活する。
世界の名手ムーア騎手から日本のトップジョッキー川田騎手がバトンを引き継ぎ、いったいどのような結果となるだろうか。阪神大賞典がキセキの新たなターニングポイントになることに期待したい。