JRA浜中俊「最近、心不全を起こす馬が多くなっている」過去にもサンデーサイレンスやアグネスタキオンなどが死亡……考えられる原因
浜中俊騎手は、『中日スポーツ』に掲載している自身のコラムにて、心不全を起こして死亡する馬の多さについてそう振り返った。
先週日曜の中山12Rでは、1番人気に支持された北村宏司騎手のサトノテラスが好スタートを決めるも、向こう正面で突然ジョッキーがバランスを崩すほどの後退。そのまま崩れるように転倒してしまった。
幸いにも北村宏騎手は無事だったが、サトノテラスは死亡。診断の結果、死因となったのは急性心不全だった。
浜中騎手の説明によると、急性心不全を発症するといきなり全身の力がフッと抜けてしまう感じで、乗っている方はどうしようもなくなるようだ。同騎手が落馬負傷の原因となった昨年の京阪杯(G3)でファンタジストが心不全を発症して競走中止となっている。
軽種馬育成調教センターHPの説明によると、心不全は心臓が機能不全に陥り、心筋の収縮力が減退ないし消失し、全身性の血液循環障害を伴って心臓に還流する血液が完全に心室内から拍出できないために起こる。前日まで元気だった馬が翌朝に馬房や放牧地で死亡していたといった事例もある。
サンデーサイレンスは蹄葉炎の後に、衰弱性心不全で死亡。幻の3冠馬アグネスタキオン、稀代のスプリンター・サクラバクシンオー、名マイラー・ノースフライトも心不全が原因で死亡している。
また、浜中騎手は、「はっきりしたことは言えませんが」と、ことわりを入れつつ「カイバの栄養価が高くなっているのが原因なのでしょうか」と、同騎手なりの見解を述べた。
確かに調教や育成技術の向上、進化の一方で競走馬の飼い葉の改良なども因果関係が全くないとは言い切れないかもしれない。我々人間にしても一昔前から随分と食生活は変化を遂げている。
「いずれにしろ、このようなケースがなくなることを祈りたいです」と、浜中騎手は最後に競走馬の無事を案じた。
レースでは常に全力で駆け抜ける競走馬にとって、突然の骨折や心房細動などで競走中止となることは珍しくはない。また、現役を引退した後も突発的に死亡することもある。
これからもひとつでも不幸な事故が減ることを願うばかりだ。