JRA最優秀障害馬シングンマイケル死去。オジュウチョウサン好敵手、“恩師”高市圭二調教師の他界後わずか2カ月で逝く

シングンマイケル JBISサーチより

 18日に中山競馬場で行われた中山グランドジャンプ(G1)は、1番人気のオジュウチョウサン(牡9歳、美浦・和田正一郎厩舎)が優勝し5連覇を達成。改めて絶対王者の力を見せつけた。

 一方、これが最後のレースとなってしまったのが、2番人気に支持されたシングンマイケル(セン6歳、美浦・大江原哲厩舎)だ。

 最後の直線、先頭を走るオジュウチョウサンを目掛け、4番手を追走していたシングンマイケル。だが、最終障害を飛越したところで突如バランスを崩し、前のめりに転倒……。鞍上の金子光希騎手が落馬し、競走中止となってしまった。

「頭から落ちて縦に一回転するなど、事故の瞬間に『ただ事ではない』と思わざるを得ない落馬でした。レース後の診断は頸椎関節脱臼とのこと。ただ、大江原調教師は『心臓麻痺』と語っていました。詳細はまだ不明ですが、昨年の最優秀障害馬に選出されるなど、絶対王者オジュウチョウサンに唯一対抗できそうな存在だっただけに、非常に残念で悲しい結果です」(競馬記者)

 この日は朝から雨が降っており、レースは勝ち時計が史上3度目の5分越えを記録するなど、非常に重い馬場だった。それがシングンマイケルの走りにどの程度影響したのかは定かではないが、少なくとも出走馬たちにとって、過酷なコンディションであったことは確かなのだろう。

 また、今年2月にはシングンマイケルを昨年の最優秀障害馬に導いた高市圭二調教師が他界したばかり。あれから、わずか2カ月で“孝行息子”が後を追うこととなった。

「シングンマイケルの父シングンオペラもまた、最後のレースで大ケガを負った馬。現役時代に大きな実績を上げたわけではなかったですが、伊坂重憲オーナーが『命だけは』とお願いして一命を取り留め種牡馬入りしたエピソードがあります。

そこから生まれたシングンマイケルは、まさに奇跡のような馬。それだけに今回は本当にやるせない気持ちでいっぱいです」(別の記者)

 一方、不幸中の幸いか、どうやら金子騎手は軽傷で済んだようだ。当初は明日の騎乗にも意欲を見せていたが、落馬した影響で全身に痛みがあるということで騎乗を取りやめた。

 そんな金子騎手にとっても、シングンマイケルは昨年の中山大障害で人馬共に初G1を飾った際「やっと夢が叶いました。折れそうな心を鼓舞して20年騎手を続けてきた」と語るほど思い入れのある相棒。今は身体の傷だけでなく、心の傷もゆっくり癒してほしい。

 シングンマイケルのご冥福をお祈りいたします。

関連記事

競馬最新記事

人気記事ランキング 17:30更新

競馬

総合

重賞レース特集
GJ編集部イチオシ記事
SNS