JRAインディチャンプを1週前に一蹴! 「問題児」が去勢で「優等生」に更生!? 新生ダンビュライトに激走の予感
今年の春の天皇賞(G1)は昨年の覇者フィエールマンと「平成の盾男」武豊騎手と新たにコンビを組むキセキの対決が注目されるが、ダンビュライト(騙6、栗東・音無秀孝厩舎)に激走の予感がある。
これまでG1の舞台では3歳で皐月賞(G1)を3着したのが最高ではあるが、天皇賞の行われる京都の舞台は、非常に相性のいいコースでもある。昨年の京都記念(G2)を勝利、京都大賞典(G2)を2着と好走している。
ダンビュライト陣営を悩ませてきたのが、その激し過ぎる気性だ。いい方に作用すれば闘争心ともなるが、悪い方に作用すれば能力を発揮できないまま不完全燃焼となってしまう。
最たる例となったのが18年の天皇賞・秋(G1)だ。コース入りを嫌がっていたダンビュライトが馬場入場後に暴れ、鞍上の戸崎圭太騎手を振り落として放馬した。そのまま芝コースをしばらく全力疾走した結果、「疲労が著しいため」競走除外となった。
陣営が思い切った決断を下すきっかけとなったのが、昨年のジャパンC(G1)だった。天皇賞同様、馬場入り後に制御不能なほどの大暴れをした結果、14着と大敗を喫した。ついには気性面の改善を目的に去勢されることが発表されたのである。
「騙馬でG1勝ちといえば、過去にはレガシーワールドやマーベラスクラウンがいましたね。最近だとサウンドトゥルーやノンコノユメもそうです。気性の荒さが走る方に向かえば、それは武器となりますが、場合によっては去勢されたことで闘争心をなくして走らなくなってしまうケースもあるということです。
ですが、ダンビュライトはさすがにやんちゃ過ぎましたから、去勢されたのはやむを得なかったかもしれません。あのままだと競馬にならないところまでいってしまいそうでしたから。ルーラーシップを同じく父に持つキセキは、前走の阪神大賞典(G2)で大出遅れを犯しました。血は争えないとはまさにこのことなのかもしれないですね」(競馬記者)
人間でいえば男性ホルモンが減るのと同じで、これは筋肉量の低下を意味する。そのため、去勢から復帰初戦の馬が、馬体重を大きく減らして出て来ることは珍しくはない。
だが、そんな心配をよそに馬の方は順調な調整が進んでいる。22日の1週前追い切りでは栗東・坂路で4F50.7-37.9-25.5-13.3の猛時計をマーク。これはマイラーズC(G2)を圧勝したインディチャンプを一蹴するこの日の一番時計だった。
これにより、遅れたインディチャンプは状態が懸念されたものの、レースでは不安を払拭する快勝を決めた。となるとダンビュライトが走り過ぎたために、後れを取ったと考えるのが妥当である。
音無秀孝調教師も「気性の問題がレースに影響を与えていたと思うので、中間は去勢手術を行った。能力そのものは高い馬だし、走りが良くなってくる可能性もある」とコメントしたように、期待が出来そうな仕上がりだ。
今回は、昨年のジャパンC(G1)以来、5ヶ月ぶりの長期休養明けではあるが、気性の激しい馬は休み明けでも好走する例も多い。むしろ、時間をかけてしっかりと態勢を整えたと見る方がいいだろう。
「問題児」から「優等生」へと生まれ変わったかもしれない新星ダンビュライトの走りに要注目だ。