JRA天皇賞・春(G1)好調「モズ軍団」待望の長距離砲? モズベッロは父ディープブリランテの救世主になれるか
天皇賞・春(G1)が5月3日、京都競馬場で行われる。今年ここまで行われたG1を振り返ると、モズアスコットがフェブラリーSを、モズスーパーフレアが高松宮記念を制覇するなど、モズ軍団こと「キャピタル・システム」の活躍が目立つ。
そのモズ軍団は今週の天皇賞・春にモズベッロ(牡4歳、栗東・森田直行厩舎)を送りこみ、上半期G1・3勝目を狙う。モズ軍団といえば、先述した2頭の名前を挙げるまでもなく、所有馬のほとんどが短距離志向である。
JRAでは芝ダート合わせて65勝挙げているが、その半数以上の39勝を1600m以下の短距離で挙げている。一方で2400m以上の長距離レースは出走自体が珍しく、勝ち鞍はいずれもモズベッロが挙げた2勝だけである。
モズベッロにとって3200mは未経験の距離となる。前走の日経賞(G2)から一気に700mの延長となるが、血統面からこの距離延長は不安要素といえそうだ。
父ディープブリランテの産駒はこれまで2600mを超えるレース経験は一度もなく、同産駒にとっても3200mは未知の距離である。また、同産駒は距離延長が大の苦手であることがデータから明らかになっている。
【ディープブリランテ産駒の前走距離別通算成績(左から勝率/連対率/複勝率】
延長時 4.9%/10.6%/16.2%
同距離 6.0%/11.5%/18.8%
短縮時 8.2%/16.6%/23.4%
データを見てわかる通り、前走からの距離延長はプラスに働くとは考えにくい。特に500m以上の距離延長時は「1-1-3-61」で勝率は1.5%、芝のレースに限ると「0-0-2-36」とさっぱりだ。
「モズベッロの父ディープブリランテは、ディープインパクトの後継種牡馬候補として初年度(現6歳)からセダブリランテスが誕生し、重賞で2勝しています。2年目の産駒(現5歳)からは目立った活躍馬は出ていませんが、3年目産駒にあたるモズベッロが2頭目の重賞勝ち馬となりました。
ディープブリランテは種牡馬としての期待も大きく、初年度シーズンの種付け頭数は200頭を超えていました。しかし、その後80頭台まで減少……セダブリランテスの活躍後には150頭近くまで回復しましたが、2019年シーズンは再び40頭前後まで激減しています。種牡馬入り当初は社台スタリオンステーションで繋養していましたが、今はブリーダーズ・スタリオン・ステーションに移動しており、種牡馬として前途多難というのが現状です」(競馬記者)
同じくディープインパクトの後継種牡馬として、昨夏デビューしたキズナの初年度産駒が活躍していることもディープブリランテには逆風となっている。窮地に陥った父を救うためにもモズ軍団待望の“長距離砲”モズベッロの大駆けに期待したい。