JRA武豊もあの7冠馬も「歴史的名馬」に阻止された天皇賞4連覇! 史上初の大偉業をルメールは達成できるか!?
今年の天皇賞・春(G1)は、C.ルメール騎手がフィエールマン(牡5、美浦・手塚貴久厩舎)とのコンビで大偉業に挑戦する。
ルメール騎手はここまで18年の天皇賞・秋(G1)をレイデオロ、昨年の天皇賞・春をフィエールマン、天皇賞・秋をアーモンドアイで制して天皇賞を3連勝中である。過去に3連覇を達成しているのは、ルメール騎手に加え、天皇賞は89年春をイナリワン、秋と翌年の春をスーパークリークで制した武豊騎手と2000年春秋、01年春をテイエムオペラオーで制した和田竜二騎手の3人しかいない。
今回、フィエールマンが勝てば、ルメール騎手は天皇賞4連覇となり、これは史上初の快挙である。
過去、天皇賞4連覇を惜しくも逃したのは2度ほどあったが、そのときを振り返ってみたい。
1つは武豊騎手の16年と17年である。天皇賞・春をキタサンブラックとのコンビで制し、天皇賞・秋にはエイシンヒカリとのコンビで出走した。スタートで躓きながらも果敢に逃げたが、直線入り口では手応えが怪しくなって9着に敗れた。このとき鮮やかな勝利を飾ったのがG1・6勝をあげた名馬のモーリスだった。
翌17年にキタサンブラックで天皇賞春秋連覇を達成しているために残念だ。結果的に4戦3勝となってしまい4連覇とならなかった。この年のジャパンC(G1)をキタサンブラックで制していただけに、もし天皇賞の方に出走していれば、モーリスとの最強馬対決も見られたかもしれない。
もう1つは和田竜二騎手が7冠馬テイエムオペラオーと歩んだ2000年と01年だ。当時のテイエムオペラオーはすでにG1・7勝をあげる現役最強馬だった。それだけに3連覇で挑んだ01年の天皇賞・秋での4連覇はほぼ達成間近と思われていた。
だが、それを阻止したのが元祖芝ダート二刀流G1馬アグネスデジタル。前走でダートのG1である南部杯を制して急遽の天皇賞参戦は異例だったといえる。また、同馬の出走に伴い、クロフネが出走できなくなり非難を受けることになった。
ところが、そんな下馬評を覆してテイエムオペラオ―、メイショウドトウをまとめて差し切っての快勝を見せたのである。アグネスデジタルは最強馬をねじ伏せることにより、周囲の雑音を沈黙させるという最高の結果で応えたのだった。
敗れたテイエムオペラオーは次走のジャパンCでも3歳のダービー馬ジャングルポケットの2着に敗れ、有馬記念(G1)の5着を最後にその競走生活を終えた。天皇賞出走が叶わなかったクロフネは、ダートの武蔵野S(G3)に出走して1分33秒3というスーパーレコードで勝利、次走のジャパンCダート(G1・当時)も圧勝して新境地を切り開いた。
「暮れの香港ヴァーズ(G1)を楽勝した昨年の2着馬グローリーヴェイズが参戦していれば、大きな壁となっていた可能性がありますが、新型コロナの影響で回避しています。出走していれば怖かったワールドプレミアも脚部不安で春を全休ですから。最大のライバルとなるキセキもゲートの問題がありますしね」(競馬記者)
武豊騎手や和田騎手の場合は歴史的名馬によって4連覇を阻止された。だが、今年の天皇賞春にはそこまでの大物の出走はない。
実際にレースが終わってみないことにはわからないとはいえ、ルメール騎手による史上初となる天皇賞4連覇の可能性はかなり高いといえそうだ。