JRA天皇賞・春(G1)TTGグリーングラスと同郷「青森県産」ミライヘノツバサが大舞台で空高く羽ばたく!?
JRAで唯一3000mを超えるG1天皇賞・春が3日、京都競馬場で行われる。昨年の覇者フィエールマンと2017年の菊花賞馬キセキのG1馬2頭を含む14頭がマラソンレースに挑む。
メンバーで最年長、7歳馬で唯一の出走馬がミライヘノツバサ(牡7歳、美浦・伊藤大士厩舎)だ。前走のダイヤモンドS(G3)は、最低16番人気(単勝オッズ325.5倍)の低評価を覆し、メイショウテンゲンをハナ差抑え、7歳にして重賞初勝利を飾った。
29日の最終追い切りは、木幡巧也騎手を背に美浦の南Wを単走で追われ、5F68秒5、ラスト1F12秒0をマーク。管理する伊藤大調教師は「気配は文句なし。まさにピークと言えるデキ」と自信たっぷりのコメントを残しており、軽視できない存在だ。
レースでも手綱を取る木幡巧騎手にとっては、5年目にして待望のG1初騎乗となる。23歳の若武者が最年長7歳馬の力をどのように引き出すのか注目したい。
血統的にもミライヘノツバサは注目すべき存在だ。祖母タムロチェリーは2001年の阪神JF(G1)を7番人気で制した正真正銘のG1馬。母のタムロブライトは3戦して未勝利に終わったが、この一族を生産したのが青森県にある諏訪牧場だ。
現在JRAには、3歳以上の現役馬が7000頭以上いる。そのほとんどが北海道で生産され、青森県の生産馬は40頭にも満たない。もちろん現役でG1を勝った青森県産馬はおらず、最後のG1制覇は19年前のタムロチェリーまでさかのぼる。それ以前はというと、1979年の有馬記念を制したグリーングラスなので、40年以上も前までさかのぼる。
そのグリーングラスもまた、諏訪牧場の生産馬だった。
青森県生産馬として史上最高傑作といえるグリーングラス。オールドファンには懐かしいTTG(トウショウボーイ、テンポイント、グリーングラス)の一角を担った伝説の名馬だ。有馬記念以外にも菊花賞と天皇賞・春を制した生粋のステイヤーでもあった。
ちなみにグリーングラスがG1初制覇を果たした菊花賞は12番人気の低評価を覆してのもの。3番人気のテンポイントを2馬身半突き放し、淀に大輪の花を咲かせた。それから40年以上の時を経て、同郷ミライヘノツバサが長距離G1に挑む。
前走で重賞勝利を収めたミライヘノツバサだが、フロック視されているのか、4月30日時点、『netkeiba.com』の事前オッズでは単勝60倍前後の12番人気と予想されている。グリーングラスの菊花賞と同じ12番人気でレースを迎えることになれば、何か因縁めいたものも感じる。
青森県の生産者たちの期待を背にミライヘノツバサが大舞台で空高く羽ばたこうとしている。