JRA NHKマイルC(G1)「6億円」アドマイヤビルゴの「1/30」以下! “格安”タイセイビジョン「世代屈指の末脚」でオーナー孝行なるか!?
10日、東京競馬場で第25回NHKマイルC(G1)が行われる。登録22頭のうちG1馬はレシステンシアのみ。重賞2勝馬はレシステンシアとタイセイビジョン(牡3歳、栗東・西村真幸厩舎)の2頭だけだ。
無敗でレースを迎えるのはともに3戦3勝のサトノインプレッサとルフトシュトロームの2頭。連対率100%はこの2頭にタイセイビジョン(5戦3勝2着2回)を加えた3頭となっている。
マイル路線の実績は今回のメンバーでも世代屈指のタイセイビジョン。前走のアーリントンC(G3)は2着ギルデッドミラーに0秒3差をつけ完勝した。4か月ぶりの休み明けだったが、その成長ぶりが際立つレース内容だった。
「(タイセイビジョンは)芝のマイル以下なら世代屈指の末脚を持っています。前走も直線の手応えが他馬とは全く違いましたね。過去5戦のうち4戦で上がり3ハロン最速の脚を使っていて、3走前の京王杯2歳S(G2)では2歳コースレコードをマーク。2着に敗れた朝日杯FS(G1)は走破タイムを見ても、相手が悪かったと言わざるを得ません。
その後の皐月賞で2着に入ったサリオス相手に0秒4離されたとみるか、0秒4差に追い詰めたとみるかで評価は分かれるでしょう。私は、サリオスと0秒4差ならここでは馬券圏外に消えることはまずないだろうとみています」(競馬誌ライター)
重賞4連対を誇るタイセイビジョンだが、2017年の当歳セレクトセールでは1944万円(税込)という安値で取り引きされた馬だった。そんな安価な馬が3歳春の現時点で取引価格の6倍を超える1億2000万円以上を獲得している。そんな孝行息子を落札したのが「タイセイ」の冠名で知られる田中成奉オーナーだ。
田中氏の馬主歴は約20年。JRAでの初出走は2001年までさかのぼる。これまで200頭以上をJRAでデビューさせてきたが、G1馬はまだ生まれていない。これまで1億円を超える高額馬を落札したこともあるが、出世するには至らず。まさか2000万円足らずのタイセイビジョンがここまで活躍するのは想定外だったのではないだろうか。
ちなみに17年当歳セレクトセールで最高額で取り引きされたのが、9日の京都新聞杯(G2)で本命視されているアドマイヤビルゴで6億2640万円(税込)という超破格の落札額だった。単純計算だが、アドマイヤビルゴ1頭の落札額でタイセイビジョンが“30頭”以上買えるということになる。
『netkeiba.com』の想定オッズでは5日現在、レシステンシアに次ぐ2番人気に予想されているタイセイビジョン。田中氏にとって悲願のG1制覇はもう目の前と言っていいだろう。僅か1944万円で取り引きされた“格安”タイセイビジョンは持ち味の末脚を爆発させ、オーナーに初G1をプレゼントすることはできるだろうか。