JRAかしわ記念(G1)ワイドファラオ勝利の“立役者”は福永祐一以外にも!? 2月の「苦い」思い出とは……
5日、船橋競馬場でかしわ記念(G1)が開催された。久々の復帰となる元ダート王者ルヴァンスレーヴとダート2戦2勝で今年のフェブラリーS(G1)を制したモズアスコットの新旧王者対決に注目が集まった。
しかし、レースを制したのは注目馬2頭ではなく、ブービー人気のワイドファラオだった。
好スタートを切ったワイドファラオはそのまま逃げる展開となった。注目のルヴァンスレーヴは2番手、モズアスコットは4番手という隊列。まず3コーナーで手ごたえが怪しくなったモズアスコットが脱落し、直線ではワイドファラオを前に見る形だったルヴァンスレーヴも後退していった。結局は楽に逃げることができたワイドファラオの勝利となった。
勝利した福永祐一騎手は「2番手の馬から向こう正面でプレッシャーがかかってこなかったので、3角まで脚をためることができ思い通りの形になりました。馬が気持ち良さそうに走っていたので、これはいいなと思いました。僕自身も気持ちよかったです」と会心の勝利に満足の様子だ。
久々のレースが影響したと思われるルヴァンスレーヴ、初めての地方競馬場に泣いたモズアスコットとは対照的に、自分の競馬をできたことがワイドファラオの勝因だったようだ。
だが、今回のワイドファラオ勝利の一番の立役者は福永騎手ではなく、“ある意味” 田辺裕信騎手のアルクトスだったのかもしれない。
今年のフェブラリーSは、かしわ記念に出走した7頭のうち5頭が出走していた。レースを制したのはモズアスコットだったが、それを“お膳立て”したのは同じくかしわ記念に出走したワイドファラオとアルクトスの2頭である。
これまで先行策で重賞勝利するなど、結果を出してきたアルクトス。だが、この日はハナを主張するワイドファラオに競りかけていった。逃げる2頭のデッドヒートの結果、前半3ハロン34秒6のハイペースとなってしまい先行馬は総崩れ……中団で足をためたモズアスコットに有利な展開となったのだ。
この結果にワイドファラオの福永騎手も「単騎逃げが理想でしたけどね……」とコメント。12着に大敗したが、やはりアルクトスとの競り合いが大きな負担になったようだ。
そんな前回のことがあっただけに、今回もレース展開を大きく左右するのではないかと注目されていた。しかし、アルクトスは無理に競りかけることなく3番手からのレースを選択。これがワイドファラオの楽な逃げの決め手だったのかもしれない。
田辺騎手は「前回は自分の判断で主張して行きましたが、今日はゲートを出た感じで運びました。スローペースで、自分も楽でしたが、逃げた馬にも楽になってしまいました」とコメントした。
もし、フェブラリーS同様のデッドヒートが繰り広げられていたら違う結果だったかもしれない……。だが、勝負ごとに“たられば”は禁物だ。
下馬評を覆して初G1制覇を飾ったワイドファラオと福永騎手の好騎乗を素直に称えたい。そして今後はワイドファラオの単騎逃げには要注意だ。