JRAウオッカ7馬身差の圧勝、G1史上最高三連単2070万の大波乱! ヴィクトリアマイル(G1)の歴史を振り返る

 2015年 第10回ストレイトガール
 戸崎圭太騎手 藤原英昭調教師 岡本牧場生産

 1番人気ヌーヴォレコルト、2番人気ディアデラマドレ、3番人気レッドリヴェールの3強ムードが漂っていたが、勝利したのは5番人気ストレイトガール。同馬は前年のヴィクトリアマイルで3着に好走していたが、デビュー以来1200mしか勝利しておらず、勝ちきるまではないというのが多くのファンの判断だった。これまで主戦を務めていた岩田騎手はヌーヴォレコルトに騎乗し、同馬は戸崎圭太騎手へ乗り替わり。その戸崎騎手が初騎乗で大仕事をやってのけた。2着は12番人気ケイアイエレガント、3着は18番人気ミナレット。JRA史上に残る3連単2070万5810円・3連複286万480円という配当が飛び出した。


 2016年 第11回ストレイトガール
 戸崎圭太騎手 藤原英昭調教師 岡本牧場生産

 連覇を狙ったストレイトガールは7歳。これまで7歳牝馬がJRAのG1レースを勝利した例はなく、ここも7番人気の低評価となっていた。しかしミッキークイーン、ショウナンパンドラ、スマートレイアー、ルージュバック、レッツゴードンキ、メイショウマンボ、レッドリヴェールといった実績馬を相手に上がり最速で差し切り、1分31秒5のレースレコードで連覇を達成。藤原調教師はヴィクトリアマイル最多の3勝を記録した。


 2017年 第12回アドマイヤリード
 クリストフ・ルメール騎手 須貝尚介調教師 ノーザンファーム生産

 前走の阪神牝馬Sで2着に好走するも、重賞未勝利だったこともあり、鞍上ルメールでも6番人気と評価を落としていたアドマイヤリード。逆に単勝1.9倍の支持を集めたのがミッキークイーン、2番人気はルージュバック、3番人気レッツゴードンキと実績上位馬が上位人気を占めた。レースはルメールの絶妙な位置取りと手綱捌きで、馬群を縫うように追い込み完勝。人気馬総崩れで3連単は91万8700円の大波乱に。


 2018年 第13回ジュールポレール
 幸英明騎手 西園正都調教師 白老ファーム生産

 前年のヴィクトリアマイルで3着に惜敗していたジュールポレール。当時鞍上の幸騎手は「走る馬だと思っていたけど、今日の走りで確信に変わった。今後が楽しみ」と語っていたが、その言葉通りの結末となった。同馬はここまで重賞の連対実績がなく、3走前に1600万条件(現3勝クラス)を勝利したばかり。さらに休み明けの阪神牝馬Sも5着に敗退していたこともあり、8番人気の低評価に。レースは1番人気リスグラシューが単勝4.3倍の混戦模様も、アドマイヤリード、アエロリット、レッツゴードンキ、ソウルスターリング、レーヌミノルといったG1馬が揃いハイレベルの一戦。そのレースで幸騎手が前年の言葉を証明する最高の騎乗を見せた。


 2019年 第14回ノームコア
 ダミアン・レーン騎手 萩原清調教師 ノーザンファーム生産

 ノームコアはルメールで出走する予定が、ルメールの騎乗停止によって短期免許で来日していたレーンに乗り替わり。レーンは来日1週目に新潟大賞典(G3)を勝利するなど活躍し、レーン旋風を巻き起こしていた。しかしここではラッキーライラック、アエロリット、レッドオルガ、プリモシーンが上位人気となり、ノームコアは5番人気。だが世界を股にかけるベテランにとって容易いレースであったか、初騎乗の不利をものともせず、従来のレコードを1秒更新する1分30秒5で勝利。レーンは前日の京王杯スプリングカップ(タワーオブロンドン)に続き、来日3週間で重賞勝3勝とその力を見せつけた。


 これまで14回行われたヴィクトリアマイル。歴史は浅いものの、非常に中身の濃いレースが多かったといえるだろう。印象的なのは、ヴィルシーナ、ストレイトガール、ジュールポレールなどがそうであったように、前年の好走馬が人気薄でも好走する傾向にあるということ。

 今年はアーモンドアイを筆頭に、ダノンファンタジー、ノームコア、ラヴズオンリーユー、サウンドキアラ、コントラチェック、プリモシーンなど魅力的な馬が揃った。ノームコアの連覇か、アーモンドアイの新たな伝説の誕生か、それとも実力馬の復活か、上がり馬の勝利か、プリモシーンの2年連続好走か。15回目となる今回はどんなドラマが待っているのか、週末が待ち遠しい。

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