JRAオークス(G1)新種牡馬の「出世争い」に異変起こす? ゴールドシップ産駒のウインマイティーに激走の気配
24日のオークス(G1)で1番人気が確実視されるデアリングタクト。桜花賞(G1)での勝利は、昨年産駒がデビューした父エピファネイアにとって、種牡馬初のG1タイトル獲得で、初の重賞制覇でもあった。
また桜花賞の3週間後、NHKマイルCを制したのは伏兵ラウダシオンだった。こちらもG1の舞台で父リアルインパクトに重賞初制覇をプレゼント。2019年にデビューした2頭の新種牡馬がそろって初年度からG1馬を輩出した。
一方で昨夏からこれまで重賞5勝を挙げ、新種牡馬の“出世争い”を引っ張ってきたキズナの産駒は、いまだG1勝利には手が届いていない。オークスにはマルターズディオサ、アブレイズ、フィオリキアリの3頭を送り込み、“同期”種牡馬2頭の産駒がすでに成し遂げたG1制覇を狙う。
また社台スタリオンステーションで繋養されている3頭に続く、4頭目の新種牡馬がいる。ビッグレッドファームで繋養されているゴールドシップだ。
代表産駒のブラックホールは昨年の札幌2歳S(G3)を制しているが、産駒の重賞勝利はまだその1勝だけ。繋養先の“ハンデ”に加え、初年度産駒の数はキズナの半数以下。種牡馬としての環境は、決して恵まれているとは言えない。
そんなゴールドシップの産駒がオークスの舞台までたどり着いた。忘れな草賞(L)を勝ったウインマイティー(牝3歳、栗東・五十嵐忠男厩舎)だ。前走は好位追走から、馬群の間隙を突き抜け完勝。勝負強さとともに、現役時代の父にはなかった器用さも見せた価値ある勝利だった。
「昨年9月のデビュー戦は4着に敗れましたが、直線で前が詰まっての結果。その後、3戦目で勝ち上がると、ひと冬越して、心身ともに急成長を見せました。レースごとに馬体重が増えているのが何よりの証拠です。忘れな草賞の勝ち馬は過去10年でオークス3勝と相性も良く、無視できない存在ですよ」(競馬誌ライター)
ウインマイティーの父ゴールドシップといえば、豊富なスタミナを武器に現役時代G1を6勝。時に大出遅れや惨敗もあり、記録にも記憶にも残る名馬の1頭だ。
3歳時に皐月賞と菊花賞、さらに有馬記念を制覇。4歳と5歳時に宝塚記念を連覇すると、6歳時には天皇賞・春を制した。1歳下で種牡馬としては“同期”のキズナとは天皇賞・春で2度対戦し、1勝1敗としている。
新種牡馬の出世争いではキズナに後れを取っているが、エピファネイア、リアルインパクトに続くG1制覇で一矢報いたいところ。前評判では伏兵扱いだが、ウインマイティーが父の無尽蔵なスタミナを受け継いでいれば、東京2400mの舞台でアッと言わせる場面があっても驚かない。