JRA・M.デムーロの隠れたファインプレー!? 日本ダービー(G1)ダーリントンホールの皐月賞惨敗の影にあった「馬優先主義」とは
前走は皐月賞(G1)6着であったが、陣営は悲観していないようだ。中間、馬体のバランスを調整して、最終追い切りの状態も良かったことから、各スポーツ紙の評価も高まってきた。
オーナーは、世界のG1を総ナメにしてきたモハメド殿下率いるゴドルフィンで、彼らの念願である“日本のダービー制覇”のチャンスが今回巡ってきた。
ダーリントンホールを管理する木村哲也調教師は、昨年厩舎へ来たときからダービーへ向け逆算してローテーションを組んできたという。厩舎の努力と、その期待に応えてダービーに出走してきたダーリントンホールの実力が無ければ、ここまで来ることはできなかったはずだ。
木村調教師は、共同会見の最後に「M・デムーロ騎手も乗ってくれる。うれしいし、ワクワクしています」と語っていた通り夢の実現は、デムーロ騎手の腕に掛かっている。
デムーロ騎手は、JRAの騎手免許を取得した2015年から、3位、4位、2位、2位と毎年リーディングランキングに名を連ねてきた。ダービーもネオユニヴァース、ドゥラメンテで勝っており、他のクラシックレースでもダイワメジャー、ロゴタイプ、ジュエラー、キセキ、ラヴズオンリーユーと、ここ一番で勝負強さを発揮している。
「昨年は調子が上がらなかったため今年は心機一転、主戦場を美浦に移し、エージェントも替えました。その英断で今年は成績が安定してきており、すでに重賞を4勝し、G1も大阪杯、NHKマイルCと2勝しています。G1に強いデムーロ騎手だけに、ダービーも一発あるかもしれませんよ」(競馬誌ライター)
木村調教師も皐月賞(G1)でダーリントンホールが出遅れてしまったことを敗因のように指摘していたが、それよりもデムーロ騎手が“安全”を取ったために、後方待機を余儀なくされたのではないか、という声もある。
「ダーリントンホールは行き脚がつかなかったのも事実ですが、それほど出遅れてもいませんでした。しかしその直後、左隣の馬が内に切れ込んできて衝突する危険性があったため、デムーロ騎手は瞬時に回避しています。ダーリントンホールがバランスを崩したことから、馬の負担も考慮し、無理せず後方待機を選択したのかもしれません。
もし出遅れたことで慌てて追い出していたら、どうなっていたことか……経験豊富なデムーロ騎手の手腕が冴えましたね」(同)
とかくジョッキーの役目は、どうやって馬を勝たせるかであり「結果がすべて」といわれている世界だ。だが、たとえ結果が出なかったとしても、こういった隠れたファインプレーは評価されて然るべきだろう。
左回りの東京は共同通信杯で経験済み。前走は馬場が悪い中を後方から追い上げ、末脚鋭いところを見せたダーリントンホールだけに、あとはデムーロ騎手がどう乗るかだけだ。
もしダーリントンホールが勝てば、“マル外”と呼ばれる外国産馬のダービー制覇は、史上初となる。デムーロ騎手の勝負強さで、陣営に初ダービー制覇を届け、初モノづくしといきたいところだ。