JRAクロフネ伝説を彷彿させる「18馬身差」圧勝劇! 超スーパーレコードで米国に無敗の「新女王」誕生
20日、アメリカのベルモントパーク競馬場でニューヨーク牝馬三冠の第1戦エイコーンS(G1)が行われ、断トツの1番人気に推されたガミーン(牝3歳、米・B.バファート厩舎)が優勝。2着プレザントオーブに18馬身3/4差をつける歴史的な圧勝劇だった。
米国競馬にニュースターの誕生か。7頭立てのダート1600mで行われたレースで2戦2勝のガミーンは今回が重賞初挑戦だったが、これまでのレースぶりが評価され1番人気に支持された。
スタートを決めたガミーンは、あっさりとハナへ。3コーナーまではライバルたちを牽引する形だったが、4コーナーを迎えて後続が慌ただしく先頭を捕らえに行ったにもかかわらず、ガミーンだけはまったくの馬なりのままだった。振り返ってみれば、この時点で「勝負あり」といったところだろう。
圧巻だったのは最後の直線だ。約3馬身差のセーフティリードを持ったまま直線を迎えたガミーンはJ.ヴェラスケス騎手のゴーサインに鋭く反応。あっという間に後続を大きく突き放し、最後は独走で流したままゴールした。
「エイコーンSは昨年、1戦1勝馬のグアラナがレコード勝ちして大きく注目されました。ですが、今年のガミーンはそれを上回るインパクトでした。レコードも、昨年のグアラナを1秒03も更新するスーパーレコード。率直に述べて、人知を超えているというか、信じられないパフォーマンスです」(競馬記者)
ダートのマイル戦のレコードをいきなり1秒以上更新する怪物といえば、日本では2001年のクロフネが思い出される。
NHKマイルC(G1)を勝った3歳馬だったが、予定されていた天皇賞・秋(G1)直前にアグネスデジタルが急遽出走を表明したことで、当時2つしかなかった“マル外枠”から漏れてしまったクロフネ。そんな運命のいたずらに翻弄された陣営が選択したのが、ダート初挑戦となる武蔵野S(G3)の出走だった。
レースは、後に鞍上の武豊騎手が「他の馬とは次元が違うというか、レベルが違いすぎた」と驚きを隠せないほど圧倒的な内容だった。4コーナーで先頭集団に並び掛けたクロフネは、最後の直線で独走。後続を9馬身以上突き放し、従来のJRAレコードを1秒2も更新する歴史的なパフォーマンスを見せたのだ。
クロフネはその後もジャパンCダート(G1、現チャンピオンS)を7馬身差で圧勝。“クロフネ時代”の到来を思わせたが、翌年に屈腱炎を発症して無念の引退となってしまった。
あれから19年。奇しくも3歳牝馬の頂点を決める今年のケンタッキーオークス(G1)は、新型コロナウイルスの影響により9月に延期されている。果たして米国に現れた若き怪物は、今後どんな夢を描くのか――。全米だけでなく、世界の競馬ファンの注目の的となりそうだ。