JRAグローリーヴェイズ宝塚記念(G1)参戦の「裏事情」。ドバイ中止以外にも、先を見据えた陣営の思惑が……
28日、阪神競馬場で春のグランプリ・宝塚記念(G1)が開催される。ファン投票上位のラッキーライラック、サートゥルナーリアをはじめとした豪華メンバー18頭によるフルゲートで行われる。
メンバー唯一の海外G1の勝ち馬グローリーヴェイズ(牡5歳、美浦・尾関知人厩舎)は、半年ぶりの実戦復帰で宝塚記念に挑む。
昨年の香港ヴァーズ(G1)で、ラッキーライラックに3馬身半差の勝利を収めたグローリーヴェイズ。今年の始動戦は3月のドバイシーマC(G1)を予定していたが、レースの1週前に中止が決定し、ドバイからトンボ返りとなってしまった。
ドバイワールドカップデーの約1か月後に行われる天皇賞・春(G1)は、昨年フィエールマンの2着に好走したレースだけに出走も期待されたが、間隔の短さから陣営は出走を断念。その影響で、グローリーヴェイズの始動戦は宝塚記念となった。
半年ぶりの復帰戦は初の阪神コース。関東馬ということを考えれば、阪神未出走も珍しいことではない。だが、京都はすでに6走しており、意識的に阪神を使われてこなかったようだ。
「ハナ差の2着に敗れたデビュー3戦目のきさらぎ賞(G3)がグローリーヴェイズにとって、初の京都コースでした。この走りを見た尾関調教師は直線平坦なコースが合っていると見抜き、これまで意識的なレース選択をしてきたようです」(競馬記者)
きさらぎ賞後は京都を5走、新潟とシャティンを1走ずつとコースへのこだわりがよくわかるレース選択だ。実際に、香港ではG1勝利、京都では日経新春杯(G2)を勝利、天皇賞・春で2着としっかり結果を出している。
京都が合う理由としては、デビュー時432キロと小柄な馬体だったため、力のいるコースを苦手としていたと考えられる。だが、今では450キロを超える馬格に成長しており、阪神の坂も十分にこなせる可能性が高そうだ。京都コースにこだわってきたグローリーヴェイズが宝塚記念出走に至った要因の一つだろう。
だが、それ以上に宝塚記念参戦には大きな意義があるようだ。
「京都競馬場は改修工事のため、今年の11月から開催休止に入ります。開催再開は2023年とかなり先のため、京都で結果を出してきたグローリーヴェイズにとってはかなりの痛手です。
これからは他のコースでも結果を出さなければなりませんので、陣営は宝塚記念で一線級を相手にどれだけやれるかを計りたいのではないでしょうか。ここで好走すれば、今後の選択肢は増えますが、惨敗するようだと今後のレース選択は慎重にならざるを得ないですね。陣営にとって重要な1戦となりそうです」(別の記者)
どうやらグローリーヴェイズにとって宝塚記念はただの復帰戦ではなく、重要な試金石の1戦となるようだ。
是非ともここで結果を出して、秋は“関東圏”でアーモンドアイ、フィエールマン、コントレイルらとの激闘に期待したい。