JRA宝塚記念(G1)“ドバイの呪い”は健在……。クロノジェネシス快勝も、「ライバル」にのしかかるはブービー馬がつないだバトン
28日、稍重の阪神芝コースで行われた春のグランプリ・宝塚記念(G1)は2番人気クロノジェネシスが2着に6馬身差をつけて優勝。さらに3着馬はそこから5馬身遅れてゴールと、まさにクロノジェネシスの独壇場のレースとなった。
これまで良馬場以外のレースで3戦3勝の成績を誇っていた道悪巧者が、そのポテンシャルをいかんなく発揮した結果だ。4歳牝馬のニューヒロイン誕生に、海外挑戦やアーモンドアイとの国内最強決定戦に早くも期待が高まっている。
その一方で、クロノジェネシスのライバル・カレンブーケドール(牝4歳、美浦・国枝栄厩舎)は宝塚記念の結果を受けて、評価を上げた1頭ではないだろうか。
これまで重賞未勝利ながらも、重賞で2着4回(うちG1が3回)の好走をしているカレンブーケドール。あと一歩、勝利に届かないシルバーコレクターだが、クロノジェネシスとの対決は1勝2敗で、着順の差はすべて「1」と接戦を演じているライバルだ。
宝塚記念は稍重の馬場を味方につけたクロノジェネシスが「6馬身差」という圧巻のパフォーマンスを見せた。カレンブーケドールは重馬場で行われた今年の京都記念(G2)で、クロノジェネシスに「2馬身半差」の2着に敗れている。単純比較はできないが、もしカレンブーケドールが宝塚記念に出走していれば、2着に入っていたのではないかという見方もできるだろう。
クロノジェネシスと同じく、今後の活躍に期待がかかるカレンブーケドール。だが、宝塚記念の結果は同時に「不安」を増大させるものでもある。
注目するべきはグローリーヴェイズが5番人気ながら、まさかのブービー17着に敗れた結果だ。
今年、カレンブーケドールは2月の京都記念後、ドバイ遠征を予定していた。だが、ドバイワールドカップデーは開催中止となり、すでに現地入りしていた出走予定馬はトンボ返りとなってしまった。サウジ転戦組とは違い、1戦もすることなくドバイを後にしたトンボ返り組は帰国後の成績が不思議と奮わないのだ。
唯一、アーモンドアイが帰国初戦のヴィクトリアマイル(G1)を勝利したが、それ以外はすべて初戦を敗れてしまっている。さらにアーモンドアイは2戦目の安田記念(G1)を圧倒的な1番人気ながら3着に敗れ、ラヴズオンリーユーも単勝1.8倍に支持された鳴尾記念(G3)で2着に敗れてしまうなど、“ドバイの呪い”ともいえる状況だ。そのため、グローリーヴェイズには状況を一変させる走りに期待がかかったが、大敗してしまった。
どうやらこのジンクスはまだ続いているようだ。
未だに帰国後の初戦を迎えていないカレンブーケドール。次走の予定は発表されていないが、復帰戦は宝塚記念の勝ち馬のライバルということで注目を集める一方で、宝塚記念のブービー馬がつないだ呪いの払拭にも注目が集まるだろう。
復帰戦は悲願の重賞勝利とともにドバイ組の無念を晴らして欲しいものだ。