JRAエルムS(G3)C.ルメール「勝つ自信があった」G1馬タイムフライヤーが連勝でついに覚醒!? 二刀流で天下獲り再び?
9日、札幌競馬場で開催されたダート重賞・エルムS(G3)はC.ルメール騎手の1番人気タイムフライヤー(牡5、栗東・松田国英厩舎)が優勝。
2着ウェスタールンド、3着アナザートゥルースはいずれもダートの重賞勝ち馬。前走のマリーンS(OP)から一気に強化された出走メンバー相手に連勝を決めた。
17年のホープフルS(G1)を制した芝の期待馬がついにダートで覚醒だ。
14頭立てのレースで8枠13番からスタートを決めると、道中は外目の7番手を追走。1000m通過が1分1秒と平均やや遅めの流れを手応え十分に追い上げた。4コーナー入口では外からウェスタールンド捲くって来るも、並びかけるまでが精一杯。直線に向くと楽な手応えで後続を突き放し、ゴールでは2馬身の差をつけていた。
ルメール騎手もレース後に「強かったです。前回すごくいい競馬をして、今日も勝つ自信があった。この馬がとても好き。特に前回がすごく道中いい感じで、絶対ダートで重賞を勝てると思った」とコメントしたように、すっかりお気に入りだ。
3歳時、皆勤したクラシックでは、掲示板にすら載ることも出来ない屈辱を味わった。古馬となっても馬券圏内に入ることも叶わず、陣営が決断したのがダートへの路線変更だった。
初ダートとなったのが、奇しくも昨年のエルムSだ。このときは5番人気の支持を受けて6着に敗れた。活路を求めた新天地でも6戦して馬券に絡んだのは武蔵野S(G3)の2着のみと復活は遠のいたかに思われた。
そんなタイムフライヤーにとって転機となったのが、2着カラクプアを3馬身半突き放す圧勝を飾った前走のマリーンSだった。激しい先行争いで後ろの馬に有利な展開となったとはいえ、欲しかったのは勝利という結果。これにより、長らく続いた連敗に13で終止符を打った。
「前走の圧勝が評価されたとはいえ、単勝オッズ3.0倍の1番人気だったように、まだまだ懐疑的な見方をされていました。ですが、中団から楽に抜け出した今日のレース内容は横綱相撲といえる見事な勝利でした。
何といっても連勝したことが大きいですね。着差以上に強い内容でしたし、これはもう完全復活といえるかもしれません」(競馬記者)
復活に試行錯誤を試みた陣営も今回の勝利により、ダートでも一線級でやっていける自信も確信へと変わったのではないか。管理する松田国英調教師にとっても札幌での重賞勝ちは初。来年2月に引退するダービー2勝トレーナーにとっても嬉しいラストサマーとなった。
タイムフライヤーの父は晩成型のハーツクライ。まだ5歳と年齢も若く、これからさらなる本格化の期待もできそうだ。
復活した実力馬のホープフルS以来となる芝ダート二刀流での天下獲りに期待したい。