JRA福永祐一「良い時の走りが戻って来た」レッドアンシェル北九州記念(G3)優勝の”裏”に秘策あり!? 復活勝利の”カギ”となったのは……。
23日、小倉競馬場で行われたサマースプリントシリーズの第4ラウンド・北九州記念(G3)は、福永祐一騎手の8番人気レッドアンシェル(牡6、栗東・庄野靖志厩舎)が優勝。2着に1番人気モズスーパーフレア、3着に10番人気アウィルアウェイが入った。
あの屈辱の”しんがり負け”から完全復活を遂げたといっていいかもしれない。
直線粘り込みを図る今年の高松宮記念馬モズスーパーフレアを直線で交わし、1馬身3/4の差をつける完勝だった。同馬は昨年のスプリンターズS(G1)でも2着に入った実力馬だ。トップハンデ57キロを背負ってG1馬相手に快勝した価値は大きい。
手応えはありながらも勝負どころから伸び切れない。そんなレッドアンシェルのもどかしさを改善したのは福永騎手が進言したブリンカーの装着だった。
レース後に「本来のパフォーマンスを発揮できれば、このメンバーでも引けを取らないと思っていました。追ってから頑張り切れないところがありましたが、ブリンカーの効果があって、良い時の走りが戻ってきました。G1に向けて順調に行ってくれれば良いですね」と福永騎手も完全復活に太鼓判。
同馬を管理する庄野靖志調教師も「今日は精神的な落ち着きもあり、この馬の良いところを久々に見ることができて、嬉しかったです。スプリンターズSへ向かうなら直行です」と久々の勝利を振り返った。
昨年のCBC賞(G3)以来となる重賞2勝目を飾ったレッドアンシェルだが、今年2月のシルクロードS(G3)では、まさに想定外の出来事が起こった。
S.フォーリー騎手とのコンビで1番人気に支持された一戦。最内枠からフライング気味に好スタートを決めたものの、直線半ばでフォーリー騎手が追うのをやめたこともあり、大差のしんがり負け。
レース後のコメントでもフォーリー騎手が「ゲートが開く前に押し出る感じで……。それで体のどこかを痛めた感じの走りだったので、無理に走らせるのはやめました」と外傷を案じていた。
その影響か、次走の京王杯SC(G2)でも精彩を欠く11着と敗れ、精神的なダメージが心配されたが、3着に入った今年のCBC賞で復活の兆しが見えていたのかもしれない。
レース後に福永騎手が「上手く立ち回って、良い形で直線に向きました。しかし、そこからの伸びがもう一つでした。良い頃から比べると、物足りなさはありますが、最低限の格好はつけてくれました」とコメントしていたように、復活への手掛かりは肉体面よりも精神面がカギとなっていた。